2025.12.25

活用ノウハウ

高齢患者が多いクリニックには予約システムは向かない?

── 高齢者が多いクリニックでの予約対応、どう考えるべきか

「予約システムを検討しているものの、高齢の患者さんが多く、導入しても使われないのではないか」
「周囲からも“高齢者が多いクリニックでは予約システムは難しい”と言われ、判断に迷っている」というご相談をいただきました。確かに、クリニックの患者層に高齢者が多い場合、予約システムとの相性を不安に感じる院長先生は少なくありません。

では実際のところ、高齢者が多いクリニックでは予約システムは本当に使えないのか。導入を検討する意味はないのか。今回は、医療機関の予約運用を数多く見てきた立場から、この悩みをどのように整理し、考えていけばよいのかをお話しします。(患者動線DXコンサルタント:石井聡

高齢者だからWEB予約ができないとは限らない

── 予約システムを導入しても「高齢者が使えない」と言われることが多いのですが、本当にそうなのでしょうか?

石井:
「予約システムを導入しても高齢者が使えないのではないか」という質問をよく受けますが、まず前提として、「高齢者」を一括りにして考えること自体が、あまり正確ではありません。

いわゆる前期高齢者(〜74歳)の方であれば、LINEなどのスマートフォンアプリを日常的に使っている患者さんは、今では決して珍しくありません。

「高齢者が多いから、うちのクリニックにはWEB予約は合わない」
と最初から決めつけてしまうのは、少しもったいない考え方だと思います。

予約システムは全ての患者に使ってもらう必要はない

── とはいえ、すべての患者さんにWEB予約を使ってもらうのは難しいですよね?

石井:
現実的に見ても、WEB予約のみに完全移行しているクリニックはほとんどありません。
重要なのは、「全員をWEB予約に移行する」ことではなく、使える人から使ってもらうという考え方です。

例えば、
- WEB予約ができる患者 → WEB予約へ
- 難しい患者 → 電話予約や院内での次回予約

このように併用するだけでも、クリニック全体の運用は大きく変わってきます。

WEB予約が5割でも運営改善につながる

── どれくらいの割合がWEB予約に移行すれば、導入の効果が出るのでしょうか?

石井:
この質問も非常に多いのですが、例えば、全体の5割がWEB予約に移行するだけでも、効果は非常に大きいと考えています。
患者側、クリニック側のメリットはそれぞれ以下のとおりです。

患者側のメリット

  • 電話がつながらないストレスがなくなる
  • 受付時間外(昼休み・休診日)でも予約できる
  • 自分のタイミングで予約できる利便性

クリニック側のメリット

  • 予約に関する電話対応が大幅に減る
  • 受付・会計スタッフの業務負担が軽減される
  • 院内での次回予約対応にかかる時間も削減できる

WEB予約の導入においては、100点を目指す必要はなく、「80点で十分」という発想がとても大切です。

後期高齢者が多い場合でも予約システムを検討する意味はある

── 後期高齢者が多いクリニックでも、WEB予約を導入する意味はあるのでしょうか?

石井:
まず、どこまで対応できるかを実際にやってみること自体は非常に重要です。
ただし同時に、今いる患者さんだけを前提に運営を続けてよいのかという視点も必要になります。

後期高齢者の患者さんは、将来的に通院が難しくなるケースも少なくありません。
つまり、患者層は少しずつ入れ替わっていくものだという前提で、クリニック運営を考える必要があります。

新規患者と既存患者で予約方法を分けて考える

── 高齢者が多いクリニックでは、どのような運用方法が現実的でしょうか?

石井:
高齢者が多いクリニックで現実的なのは、段階的な併用運用です。

例えば、
- 新規患者・初診患者はWEB予約を基本にする
- 既存患者は、できる人から徐々にWEB予約へ移行
- WEB予約が難しい方は、これまで通り電話や院内予約で対応

こうすることで、新しい患者層を無理なく取り込みながら既存患者を置き去りにしない運用を両立することができます。

高齢者が多いクリニックだからこそ併用という選択肢を持つ

── 最後に、高齢者対応と予約システムについて、どのように考えるべきでしょうか?

予約システムは、高齢者を切り捨てるための仕組みではなく、クリニック全体の運営を支えるためのツールです。

「高齢患者が多いからWEB予約は使えない」と考えてしまうと、結果的に新しい患者さんを受け入れる選択肢そのものを狭めてしまうことになります。

高齢者が多いクリニックだからこそ、「どう併用するか」という視点でWEB予約を考えることが、これからのクリニック運営では重要になっていくでしょう。

本記事を解説した専門家

患者動線コンサルタント

株式会社レイヤード

石井聡

いしい さとし

得意な診療科目:眼科、小児科、皮膚科、内科

医療IT業界において約20年にわたり、介護保険のシステム開発、大規模病院向けの業務改善ソリューション提案など、医療機関の多用な課題解決に携わってきた実績をもつ。
近年は、全国400以上のクリニックに対し、予約システムをはじめとするクラウド型サービスの導入支援を実施。クリニックの業務フローを俯瞰し、現場の導線改善・業務効率化・患者体験の向上を実現する支援に注力している。医師・スタッフ・患者それぞれの立場を考慮したバランスのとれた改善提案が強み。


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