2025.12.25

活用ノウハウ

WEB予約できるのに、院内・電話予約の患者さんが減らない…WEB予約の患者割合を増やすには?

「WEB予約を受付けているものの、院内や電話で予約した患者さんがその後もずっと同じ方法で予約を取り続けてしまう」
「予約変更やキャンセルがすべて電話対応になり、受付の負担が減らない」
今回は、このようなお悩みをご相談いただきました。

実際、多くのクリニックでWEB予約システムを導入しているにもかかわらず、院内予約・電話予約の患者さんが一定数残り続け、WEB予約のメリットを十分に活かしきれていないケースは少なくありません。では、なぜこのような状況が起きてしまうのか、そしてWEB予約の患者割合を増やしていくためには、どのような運用の工夫が必要なのでしょうか。今回は、患者動線と予約運用を数多く見てきた立場から、現実的な考え方と対策について整理してお話しします。患者動線DXコンサルタント:毛塚牧人

院内・電話予約が固定化してしまう理由とは

── WEB予約を用意しているのに、院内や電話予約の患者さんが減らないのはなぜなのでしょうか?

毛塚:
大きな理由は、「最初の予約の取り方」が、その後の行動を固定化してしまうからです。

例えば、初回を電話や窓口で予約した患者さんは、その後も
「予約は電話でするもの」
「変更も電話でするもの」
という認識のまま通院を続けるケースが多くなります。

これは患者さんが悪いわけではなく、予約の導線がそうなっているだけ、ということがほとんどです。

院内・電話予約が続くことで起きる2つの課題

── 院内・電話予約が続くことで、具体的にどのような問題が生じるのでしょうか?

毛塚:
課題は大きく2つあります。

1つ目は、患者さんの連絡先情報が予約システム上に存在しないことです。院内や電話だけで予約を完結させている場合、メールアドレスが登録されていないことが多く、前日のリマインドや休診・時間変更の案内などをシステムから送ることができません。

2つ目は、予約変更やキャンセルがすべて電話対応になる点です。
「変更のたびに電話をかける」という運用になるため、受付業務の負荷が高まり、電話が繋がりにくくなる原因にもなります。

対策① WEB予約できそうな患者さんは次回から切り替える

── まず取り組むべき対策は何でしょうか?

毛塚:
1つ目の対策は、患者さんをきちんと切り分けることです。

初回は院内や電話で予約したとしても、スマートフォンを問題なく使っていそうな方や、比較的若い患者さんであれば、次回予約は「ご自身でWEBから取ってください」と案内することができます。

患者さん自身でWEB予約をしてもらえれば、
・メールアドレスの登録
・自動リマインド配信
・WEB上での予約変更
といった仕組みに自然に乗せることができます。

すべての患者さんを一度に切り替える必要はありません。「できそうな方から徐々に」が現実的です。

対策② 高齢患者さんには紙とQRコードを組み合わせる

── 高齢の患者さんには、どのように対応すればよいのでしょうか?

毛塚:
高齢の患者さんに対して、いきなり「自分でWEB予約してください」とお願いするのは現実的ではありません。

そこで有効なのが、紙とQRコードを組み合わせた方法です。
次回予約内容を記載した紙の予約表をお渡しし、その中に「予約の変更・キャンセルはこちら」という案内とQRコードを載せます。

こうすることで、患者さんご本人が操作できなくても、ご家族が代わりに手続きを行うことができます。結果として、予約変更の電話を減らすことにつながります。

高齢者だからWEBは使えない、と決めつけないことが重要です。

対策③ 電話番号だけでも必ず予約システムに登録する

── それでもWEBが使えない患者さんへの対策はありますか?

毛塚:
あります。最低限として、携帯電話番号は必ず予約システムに登録することをおすすめしています。

最近では高齢の方でもスマホを保有している方が多くなっているので、電話番号を登録しておくだけでも、
・SMSでのリマインド
・予約確認の通知
といった対応が可能になります。

メールアドレスが難しい場合でも、電話番号の登録だけで運用は大きく改善します。

100%のWEB化を目指さなくても十分効果は出る

── どこまでWEB予約に移行できれば良いと考えるべきでしょうか?

毛塚:
すべての患者さんをWEB予約に移行する必要はありません。
実際には、全体の半分程度がWEB経由になるだけでも、電話件数や受付業務の負担は大きく減ります。

重要なのは、
・誰をWEB予約に乗せるのか
・誰は従来の方法を残すのか
を運用として整理することです。

仕組みと導線を整えれば、患者さんの行動は無理なく変わっていきます。

WEB予約の患者割合を増やすために必要な考え方

── 最後に、クリニック運営者が意識すべきポイントを教えてください。

毛塚:
院内・電話予約が減らない原因は、患者さんの意識ではなく、予約の設計と運用にあります。

・WEB予約できそうな患者さんは次回から切り替える
・高齢患者さんには紙とQRコードで対応する
・電話番号だけでも必ずシステムに登録する

この3点を意識するだけでも、WEB予約の活用度は確実に高まります。

無理に変えようとせず、少しずつ患者さんの行動を誘導していくことが、結果的に受付業務の効率化と患者満足度の向上につながります。

本記事を解説した専門家

患者動線コンサルタント

株式会社レイヤード 代表取締役社長

毛塚 牧人

けづか まきと

得意な診療科目:総合内科、耳鼻咽喉科、小児科、心療内科、皮膚科

大阪大学人間科学部卒。コンサルティング会社マネージャー、医療系ベンチャー取締役兼営業本部長を経て、2008年より現職。医療DXを専門とし、医療者・生活者双方の視点でWEB問診Symview、PRM(医療版CRM)Kakarite、予約システムWakumyを企画・開発。製品開発・セールス両面から同社のマルチプロダクト戦略を推進し、全国約4,000施設の医療機関に各プロダクトを導入。かかりつけ医や地域医療のDXをテーマに講演活動も行っている。


レイヤードの患者動線DX無料相談会 

レイヤードでは、院内/院外の患者動線設計・改善に関する無料の相談会を随時開催しています。
本相談会は、オンライン面談にて対応させていただきます。
また、クリニック経営者/スタッフ、開業予定医師のみ対象とさせていただきます。
※対象外の方からお申し込みをいただいても対応できませんのでご了承ください

クリニック経営のお悩みがございましたら、お気軽にお申込みください。


最新記事