2025.12.25

活用ノウハウ

近隣に競合クリニックが開業し、患者をとられてしまっている―原因はホームページ?

「近隣に若い先生のクリニックが開業してから、患者数が減っている気がする」
「設備や診療内容は変えていないのに、新患が思うように増えない」
「原因はホームページにあるのではないかと感じているが、何から手を付けるべきか分からない」

今回は、このようなご相談をいただきました。実際、長年地域で診療を続けてきたクリニックほど、患者数の変化に対して違和感を覚えやすいものです。背景には、診療の質ではなく“新患の入口”であるホームページが影響しているケースも少なくありません。

そこで本記事では、患者動線の視点から、なぜホームページが患者数に影響するのか、そしてどのように見直すべきかを整理してお話しします。患者動線DXコンサルタント:毛塚牧人

患者数が減っている本当の理由は「新患の減少」にある

── 近隣に競合ができると、やはり患者は取られてしまうのでしょうか?

毛塚:
患者数が減っていると聞くと、「既存の患者さんが他院に流れているのでは」と考えがちですが、実際にはそうとは限りません。多くの場合、起きているのは再診患者の減少ですが、これは自然なことと言えます。転居や高齢、通院終了などにより、再診患者は年単位で少しずつ減っていくことは仕方ないことだからです。

その減少分を補うだけの新患が入ってこなくなると、結果として患者数が減っているように見えます。内科であれば、開業から5年以上経過している場合、新患率はおおよそ10〜15%程度が一つの目安になります。患者数が減っている場合、この新患率が下がっている可能性が高いと考えられます。

新患は「ホームページを見て」クリニックを選んでいる

── 新患が減っている原因として、ホームページはどれほど影響するのでしょうか?

毛塚:
新患の多くは、来院前に必ずと言っていいほどホームページを見ています。初診の患者さんは、これまでかかったことのないクリニックを選ぶため、判断材料が限られています。その中で大きな役割を果たすのが、ホームページの印象です。

例えば、同じ症状で受診を検討している人が、2つのクリニックのホームページを見比べたとします。一方は新しく整えられ、情報量も十分にある。もう一方は少し古く、最低限の情報しか載っていない。この場合、7〜8割の人は前者を選びます。これは診療内容の優劣ではなく、「ここなら安心して受診できそうだ」という第一印象によるものです。

古くからのクリニックこそ、ホームページで伝えるべき強みがある

── 若い先生の新しいクリニックと比べると、不利になってしまうのでしょうか?

毛塚:
決して不利ではありません。むしろ、長く地域で診療してきたクリニックにしかない強みがあります。地域で積み重ねてきた実績や、患者さんとの信頼関係、「何かあったらここに相談すれば安心」という存在感は、新規開業のクリニックには簡単に真似できるものではありません。

重要なのは、ホームページの見た目を今の患者さんの感覚に合わせて整えつつ、中身ではその安心感や信頼感をきちんと伝えることです。建物が古いかどうかは本質的な問題ではありません。ホームページを通じて「長く地域に根ざして診療してきたクリニックである」という価値を伝えられるかどうかが重要です。

ホームページのリニューアルは「集患」ではなく「再定義」

── ホームページをリニューアルすると、本当に新患は増えるのでしょうか?

毛塚:
実際に、ホームページを見直したことで新患の流れが安定したクリニックは多くあります。特別な広告を打たなくても、ホームページを刷新するだけで「選ばれやすくなる」ケースは少なくありません。
ホームページのリニューアルは、単なるデザイン変更ではなく、クリニックがこれまでどんな診療をしてきたのか、どんな役割を担ってきたのかを整理し、改めて伝える作業です。医療機関にとっては、リブランディングに近い取り組みだと考えています。

構成を考える前に「自院の立ち位置」を整理する

── リニューアル時、構成面で意識すべきポイントはありますか?

毛塚:
まず大切なのは、「この地域で自院はどんなクリニックなのか」を整理することです。内科と一言で言っても、実際には得意分野や診療の幅はさまざまです。呼吸器に強いのか、循環器を多く診ているのか、発熱や急性疾患が多いのか、あるいは皮膚科や胃腸科的な診療も幅広く対応しているのか。
こうした特徴を曖昧なままにせず、ホームページの構成に反映させることで、「どんな時に頼れるクリニックなのか」が初診の患者さんにも伝わりやすくなります。

自院の強みが分からない場合の考え方

── 自分では強みがよく分からない場合、どう考えればよいのでしょうか?

毛塚:
その場合は、周辺のクリニックを見渡してみる方法がおすすめです。Googleマップで自院から一定範囲内にある同じ診療科のクリニックを洗い出し、それぞれのホームページを確認します。各クリニックのホームページのトップページを印刷して、テーブルに広げて見るとわかりやすいかもしれません。

すると、「ここは専門特化型だな」「ここは若い世代向けだな」といった違いが見えてきます。その中で、自院が自然と担ってきた役割こそが強みです。ホームページでは、その立ち位置を言葉と構成で明確にすることが重要です。

患者が減っている=価値が下がったわけではない

── 最後に、患者数の減少に悩む先生へメッセージをお願いします

毛塚:
患者数が減っているからといって、クリニックの価値が下がったわけではありません。多くの場合、変わったのは患者さんの情報収集の方法です。貴院のホームページが時代に合わなくなっているだけ、というケースも少なくありません。
ホームページを見直すことは、これまで積み重ねてきた診療を否定することではなく、改めて伝え直すことです。新患の流れを取り戻すための第一歩として、前向きに取り組んでいただければと思います。

本記事を解説した専門家

患者動線コンサルタント

株式会社レイヤード 代表取締役社長

毛塚 牧人

けづか まきと

得意な診療科目:総合内科、耳鼻咽喉科、小児科、心療内科、皮膚科

大阪大学人間科学部卒。コンサルティング会社マネージャー、医療系ベンチャー取締役兼営業本部長を経て、2008年より現職。医療DXを専門とし、医療者・生活者双方の視点でWEB問診Symview、PRM(医療版CRM)Kakarite、予約システムWakumyを企画・開発。製品開発・セールス両面から同社のマルチプロダクト戦略を推進し、全国約4,000施設の医療機関に各プロダクトを導入。かかりつけ医や地域医療のDXをテーマに講演活動も行っている。


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編集後記

近隣に競合クリニックが開業し、患者数が減っていると感じている院長向けに、患者動線DXの専門家が原因と対策を解説。新患減少とホームページの関係、見直すべき考え方を整理します。

 
 

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