2026.04.15
活用ノウハウ
患者の診察券をクリアファイルで回す運用をやめたい…紙を使わず院内の流れを管理する方法はあるのか?

今回は、「電子カルテを導入しているのに、患者の診察券をクリアファイルに入れて院内で回す運用が残っている」「できればペーパーレスにしたいが、院内の流れが分からなくなるのではないか」といったご相談をいただきました。確かに、クリアファイルを回す運用は患者の待ち状況や滞在場所を把握しやすいというメリットがあります。一方で、院内の動線によってはスタッフの移動が増え、逆に業務効率が下がってしまうこともあります。では実際のところ、クリアファイルを回さずに院内の流れを管理することは可能なのでしょうか。今回は、クリニックの運用設計に関わる立場から、クリアファイルを使わない運用に移行する際の考え方とポイントについて整理してお話しします。(患者動線DXコンサルタント:毛塚牧人)
クリアファイル運用が残る理由とメリット
── 電子カルテを導入していても、患者の診察券などをクリアファイルに入れて院内で回しているクリニックは少なくありません。こうした運用は見直した方がよいのでしょうか?
毛塚:
まず前提として、クリアファイル運用には一定のメリットがあります。最大のメリットは、患者さんの待ち状況や滞在場所が物理的に把握しやすいことです。例えば、次に検査に回る患者が何人いるのか、診察待ちの患者がどこにいるのかといった状況が、ファイルの位置を見るだけで直感的に分かります。
クリニックによっては、目的ごとにクリアファイルの色を変えたり、ポストイットを貼って検査内容を示したりといった工夫をしているところもあります。また、患者ごとの申し送り事項や注意点などをファイルの中に入れておくことで、スタッフ間で情報を共有しやすいという利点もあります。
このように、院内の状況を把握するという点では、クリアファイルは非常に分かりやすい仕組みとも言えます。
動線によってはクリアファイル運用が非効率になる
── では、クリアファイルを使わない運用に変えた方がよいのはどのようなケースなのでしょうか?
毛塚:
問題になりやすいのは、受付から診察室や検査室までの動線が離れているクリニックです。こうしたレイアウトの場合、クリアファイルを回すためにスタッフが院内を行き来することになり、結果として移動の手間が増えてしまいます。
実際に、スタッフがファイルを持って院内を走り回っているような状況になっているクリニックもあります。こうなると、クリアファイルが業務をスムーズにするどころか、逆に業務効率を下げる要因になってしまいます。
そのため、動線が長いクリニックやスタッフの移動が多くなりやすい環境では、クリアファイル以外の方法で院内の状況を管理することを検討した方がよいと思います。

クリアファイルを回さないために必要な「見える化」
── クリアファイルを回さずに運用する場合、どのような工夫が必要なのでしょうか?
毛塚:
ポイントは、クリアファイルで共有している情報をデジタル上で見えるようにすることです。クリアファイルでは、患者の順番や申し送り、次に行う検査などの情報を院内で共有していると思います。
そのため、紙の運用をなくす場合は、こうした情報を予約システムや電子カルテの中で共有できる状態にすることが重要になります。
例えば、予約システムや電子カルテには予約メモや患者メモのような機能があることが多いので、こうしたメモ欄を活用して申し送り事項を残しておくとよいでしょう。
さらに、検査室の看護師や診察室の医師、クラークなど院内のスタッフ全員が、「次に誰を対応するのか」「この患者に何をするのか」「次はどこに回すのか」といった情報を確認できる状態をつくることが大切です。クリアファイルで物理的に見えていた情報を、画面上で常に確認できるようにするイメージです。
ペーパーレス運用を実現するための環境づくり
── クリアファイルを回さない運用を実現するためには、どのような環境が必要になりますか?
毛塚:
まず、診察券など紙で回している情報は、できるだけ予約システムや電子カルテの中に入れるようにすることが重要です。紙ではなくシステム側に情報を集約することで、スタッフ全員が同じ情報を確認できるようになります。
また、患者の待ち状況を共有するために、スタッフが予約システムを確認できる端末を用意することもポイントです。例えば、検査室にディスプレイを設置して患者情報を表示したり、スタッフがタブレットやPCで患者の待ち状況を確認できるようにしたりといった方法があります。
このように、各ポジションごとの待ち状況やメモ情報を確認できる仕組みと、それを閲覧できるデジタルデバイスの環境が整えば、クリアファイルを回さなくても院内の運用は十分に成り立つようになります。

まとめ
(1)クリアファイル運用は患者の待ち状況や滞在場所を物理的に把握しやすいというメリットがある
(2)ただし院内の動線によってはスタッフの移動が増え、業務効率が下がる原因になることもある
(3)クリアファイルをなくすには、患者情報や順番をシステムで共有し、スタッフ全員が確認できる環境を整えることが重要
本記事を解説した専門家

患者動線コンサルタント
株式会社レイヤード 代表取締役社長
毛塚 牧人
けづか まきと
得意な診療科目:総合内科、耳鼻咽喉科、小児科、心療内科、皮膚科
大阪大学人間科学部卒。コンサルティング会社マネージャー、医療系ベンチャー取締役兼営業本部長を経て、2008年より現職。医療DXを専門とし、医療者・生活者双方の視点でWEB問診Symview、PRM(医療版CRM)Kakarite、予約システムWakumyを企画・開発。製品開発・セールス両面から同社のマルチプロダクト戦略を推進し、全国約4,000施設の医療機関に各プロダクトを導入。かかりつけ医や地域医療のDXをテーマに講演活動も行っている。
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