2026.04.15

活用ノウハウ

クリニックにおける診察時間短縮と患者満足度を両立するための工夫

今回は、「待ち時間を短縮するために診察をスピーディにしたいが、いわゆる“3時間待って3分診療”のような不満を招かないか不安」というご相談をいただきました。確かに、診察時間を短くすることと患者満足度を維持することは、一見すると相反するように感じられます。しかし実際には、診察時間そのものよりも“設計の仕方”が重要です。今回は、診察時間の短縮と患者満足度を両立させるための考え方と具体策について整理してお話しします。患者動線DXコンサルタント:毛塚牧人

診察時間短縮と満足度を両立させる基本的な考え方

── 診察時間を短縮すると、やはり患者満足度は下がってしまうのでしょうか?

毛塚:
必ずしもそうではありません。まず前提として、すべての患者さんが「じっくり話を聞いてほしい」と望んでいるわけではないという点を押さえることが重要です。もちろん丁寧に相談したい方もいらっしゃいますが、一方で「いつもの薬をもらうだけなので早く終わらせたい」という方も一定数いらっしゃいます。

ですから大切なのは、患者さんのニーズに合わせて対応にメリハリをつけることです。例えばWEB問診を活用して、事前に「じっくり相談したい内容があるのか」「処方中心なのか」といった情報を把握しておくことで、診察時間の配分を調整できます。このように事前にある程度カテゴライズしておくことで、スピードアップを図りながらも満足度を下げない仕組みを構築することが可能になります。

「急かされたあ」と感じさせない動線設計

── スピードアップすると、患者さんに“急かされている”と感じさせてしまうのではないでしょうか?

毛塚:
患者さんが不満を抱く理由は、診察時間が短いことそのものよりも、「待たされたのに急かされた」と感じることにあります。診察後すぐに「はい、終わりです」「次の方どうぞ」と機械的に進めてしまうと、その印象が強く残ってしまいます。

そこで有効なのが、患者動線の設計です。例えば、待合室から診察室までに一定の距離がある場合、中間待合や診察室手前の椅子などを設けて段階的に移動してもらいます。その間に上着を整えてもらうなどのワンクッションを入れることで、心理的な負担が軽減されます

このように業務フローだけでなく、患者さんの体験フローを設計することが、不満の緩和につながります。

医師以外のスタッフが担うコミュニケーションの役割

── 診察時間が短いと、相談できなかったという不満が出ないでしょうか?

毛塚:
確かに「本当は聞きたいことがあったのに、診察が短くて聞けなかった」という点は、満足度低下の大きな要因になります。しかし、必ずしもそのすべてを医師が担う必要はありません。

例えば、受付時にスタッフが簡単なヒアリングを行ったり、診察後にクラークや看護師が検査や治療内容の説明、追加の質問対応を行う体制を整えたりすることで、患者さんが人とコミュニケーションを取る総時間を確保できます。

医師の診察時間がボトルネックになりやすいからこそ、そこはスピードアップしつつ、前後の工程でコミュニケーションを補完するという考え方が重要です。

WEB問診と患者満足度の関係

── WEB問診は満足度向上にも効果があるのでしょうか?

毛塚:
診察時間の長さそのものが、必ずしも患者満足度を左右するとは限りません。実際の現場でも、時間をかけた診察であっても満足度が高いとは限らず、短時間でも納得感のある診察であれば十分に評価されるケースが多く見られます。

特に重要なのは、「自分の状況を理解したうえで診てもらえている」という実感です。WEB問診を活用して事前に症状や背景を把握しておけば、限られた診察時間の中でも要点を押さえた説明やコメントが可能になります。その結果、診察時間が短くても「きちんと向き合ってもらえた」と感じてもらいやすくなります。

つまり、満足度を左右するのは時間の長さではなく、理解と共感が伝わるかどうかであり、WEB問診はその質を高めるための有効な手段の一つと言えるでしょう。

まとめ

(1)すべての患者が長時間診察を望んでいるわけではなく、Web問診などで事前にニーズを把握しメリハリをつけることが重要
(2)不満の原因は診察時間の短さよりも「せかされた感覚」であり、段階的な動線設計で緩和できる
(3)医師以外のスタッフが前後工程でコミュニケーションを担保することで、満足度を維持しながらスピードアップが可能

本記事を解説した専門家

患者動線コンサルタント

株式会社レイヤード 代表取締役社長

毛塚 牧人

けづか まきと

得意な診療科目:総合内科、耳鼻咽喉科、小児科、心療内科、皮膚科

大阪大学人間科学部卒。コンサルティング会社マネージャー、医療系ベンチャー取締役兼営業本部長を経て、2008年より現職。医療DXを専門とし、医療者・生活者双方の視点でWEB問診Symview、PRM(医療版CRM)Kakarite、予約システムWakumyを企画・開発。製品開発・セールス両面から同社のマルチプロダクト戦略を推進し、全国約4,000施設の医療機関に各プロダクトを導入。かかりつけ医や地域医療のDXをテーマに講演活動も行っている。


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