2026.04.28

活用ノウハウ

診療報酬改定2026(令和8年度)|クリニックへの影響・対応ポイントをわかりやすく解説

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定は、物価高や人件費の上昇(賃上げ対策)、医療DXの推進といった環境変化を背景に、クリニック経営に大きな影響を与える改定となります。

実際に、ベースアップ評価料の見直しや医療DX関連加算の再編、外来データ提出加算の見直しなど、収益や運用体制に影響する変更が多数盛り込まれています。

本記事では、2026年度診療報酬改定の全体像や主な変更点の解説とともに、クリニックに与える影響や取り組むべき対応ポイントについてわかりやすく解説します。

目次
1.2026(令和8年度)診療報酬改定の基本方針① 物価高・賃上げ・人手不足への対応② 2040年を見据えた医療提供体制の構築③ 安全・質の高い医療の実現(医療DX含む)④ 制度の持続可能性の確保(効率化・適正化)2.2026(令和8年度)診療報酬改定の改定率と動向動向①:施設類型ごとのメリハリを前提とした配分方針動向② :病院に重点配分、クリニック(診療所)は個別対応が中心3.2026(令和8年度)診療報酬改定のクリニックへの影響① 賃上げ対応分は処遇改善を目的としたもの② 収益への影響は加算の算定状況によって変わる4.クリニックが対応するべき主な算定項目①ベースアップ評価料の大幅増点と対象拡大②外来データ提出加算から充実管理加算への見直し③医療DX関連加算の再編(電子的診療情報連携体制整備加算の新設)④時間外対応加算の見直し(体制評価の強化)5.2026年度診療報酬改定に向けた経営対策案①充実管理加算取得による増収メリット②外来データ提出の経営メリット6.Kakariteで外来データ提出と受診管理を効率化①外来データ作成(外来様式1(FF1))の作成支援②受診状況の可視化と離脱防止に向けたフォローアップ支援【お知らせ】無料のオンデマンドWEBセミナー配信中

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1.2026(令和8年度)診療報酬改定の基本方針

2026(令和8年度)診療報酬改定は、中医協総会にて1月23日に短冊が公表され、2月13日に答申されました。今回の診療報酬改定の本体改定率は、+3.09%と大幅なプラス改定となります。

その背景には、物価高や賃上げ、人手不足への対応をはじめ、将来を見据えた医療提供体制の構築や制度の持続可能性の確保といった基本方針があります。まずは、今回の診療報酬改定の基本的な視点と具体的な方向性について理解しておきましょう。

出典:令和8年度診療報酬改定の基本方針の概要(厚生労働省)

① 物価高・賃上げ・人手不足への対応

物価上昇や賃上げの流れが進む中で、医療機関では人材確保や経営の安定が課題となっています。
こうした状況を踏まえ、診療報酬を通じた処遇改善に加え、医療DXやタスクシフト・シェアの推進による業務効率化を進め、医療従事者の負担軽減と人材確保を図る方向性が示されています。

影響大の算定項目
・ベースアップ評価料
・初・再診料(底上げ方向)
・入院基本料の見直し

② 2040年を見据えた医療提供体制の構築

生産年齢人口の減少と高齢者の増加により、医療需要の構造変化が見込まれています。
こうした将来を見据え、病院と診療所の機能分化・連携の推進や在宅医療の充実を通じて、地域で完結する医療提供体制の構築を進めることが求められています。

影響大の算定項目
・ かかりつけ医機能関連(機能報告・評価)
・充実管理加算(旧:外来データ提出加算)
・生活習慣病管理料(+見直し)
・特定疾患療養管理料(縮小・整理)
・地域包括診療料/地域包括診療加算
・時間外対応加算

③ 安全・質の高い医療の実現(医療DX含む)

医療の高度化や医療DXの進展を背景に、より質の高い医療の提供体制の整備が求められています。
ICTやデータの活用によるアウトカム評価の推進や、オンライン診療・電子処方箋の活用などを通じて、安全性と効率性を両立した医療の実現を目指します。

影響大の算定項目
・医療DX推進体制整備加算
・感染対策向上加算
・医療安全対策加算

④ 制度の持続可能性の確保(効率化・適正化)

少子高齢化の進展に伴い、医療保険制度の持続可能性の確保が重要な課題となっています。
後発医薬品の使用促進や薬剤給付の見直し、費用対効果評価の活用などを通じて、医療資源の適正配分を図りながら、制度の安定的な運営を目指します。

クリニックに影響大の算定項目
・後発医薬品使用体制加算
・重複投薬・多剤投与対策
・リフィル処方箋関連

2.2026(令和8年度)診療報酬改定の改定率と動向

資料をみて考える医師

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定は、2月13日に中央社会保険医療協議会で答申されました。
今回の診療報酬改定本体(医師技術料・看護師人件費等)の改定率は、「+3.09%」で過去30年で最高水準の大幅なプラス改定となっています。内訳は以下の通りです。

項目 改定率
賃上げ対応+1.70%
物価高対応+0.76%
食費・光熱水費+0.09%
令和6年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応+0.44%
参考: 令和8年度診療報酬改定の改定率等について(厚生労働省)

従来のような制度見直し中心の改定ではなく、基本方針をもとに「医療従事者の賃上げ支援(+1.70%)」「物価高騰(特に人件費・調達コスト)への対応(+0.76%)」といった、足元の経営環境への対応が中心(全体の約8割)となっている点が特徴として挙げられます。

動向①:施設類型ごとのメリハリを前提とした配分方針

今回の診療報酬改定は、大幅なプラス改定となりましたが、「施設類型ごとの費用構造や経営実態を踏まえて対応する」とされており、一律に引き上げるのではなく、対象ごとにメリハリをつけた配分方針が示されています。

具体的には、「施設類型ごとのメリハリを維持する」と明記されており、医療機関の種類や役割に応じて重点的に配分する考え方が前提となっています。

動向② :病院に重点配分、クリニック(診療所)は個別対応が中心

実際の配分を見ると、物価高対応分や緊急対応分は病院に重点的に配分されており、クリニック(医科診療所)の配分は以下の通りです。

項目 全体改定率 医科診療所の改定率
賃上げ対応 +1.70% +1.70%
物価高対応 +0.76% +0.10%
食費・水光熱費対応 +0.09% 主に病院が対象
令和6年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応 +0.44% +0.02%
処方や在宅医療などの適正化 +0.25% 0.28%※医科全体
参考:令和8年度診療報酬改定の改定率等について(厚生労働省)

例えば、物価高対応分では病院が+0.49%であるのに対し、医科診療所は+0.10%にとどまり、緊急対応分でも病院が+0.40%、医科診療所は+0.02%と大きな差があります。

このように、改定率全体はプラスであるものの、配分の中心は病院となっており、クリニック(医科診療所)においては一律の引き上げというよりも、個別の評価や加算の算定を通じた対応が求められる構造となっています。

3.2026(令和8年度)診療報酬改定のクリニックへの影響

受付けでPC操作する看護師

今回の改定は、全体としてはプラスであるものの、クリニックにおいては実質的な経営改善や収益増加に直結する部分は大きくない点に注意が必要です。

① 賃上げ対応分は処遇改善を目的としたもの

改定率のうち+1.70%は賃上げ対応分とされており、医療従事者の処遇改善を目的としたものです。

今回の改定では、2026年度および2027年度にそれぞれ約3.2%程度の賃上げの実現を支援する方針が示されており(看護補助者や事務職員については約5.7%)、賃上げの水準について一定の目安が提示されています。

また、賃上げの実施状況を把握・確認する仕組みも設けられており、賃上げの実施が制度上重視されている点にも注意が必要です。また、ベースアップ評価料の算定にあたっては、その原資を職員の給与や賞与として還元することが前提となっています。

さらに、賃上げの実現にあたっては、医療現場の生産性向上とあわせた対応が求められる方向性も示されており、単なる賃上げにとどまらず、業務効率化や体制見直しと一体での対応が重要となります。

そのため、クリニックにとっては、そのまま利益として残るものではなく、医療従事者の賃上げ等を目的とした改定といえます。

② 収益への影響は加算の算定状況によって変わる

一方で、今回の改定では、外来データ提出加算や医療DX関連加算、時間外対応加算など、医療機関の取り組みに応じて算定できる評価項目の見直しが行われています。

これらは一律に増収となるものではなく、対応状況によって算定可否が分かれるため、クリニックにおいてはどの加算を適切に算定できるかが、収益への影響を左右するポイントとなります。

4.クリニックが対応するべき主な算定項目

今回の診療報酬改定では、クリニックにとって一律の増収とはならず、算定項目への対応によって収益に差がつく構造となっています。

本章では、クリニックへの影響がとくに大きく、今後の診療報酬改定の方向性も踏まえて優先的に対応が求められる算定項目について解説します。

①ベースアップ評価料の大幅増点と対象拡大

今回の改定では、ベースアップ評価料の見直しにより、初診料・再診料などに上乗せされる点数が引き上げられており、賃上げの原資を診療報酬で補填する仕組みが強化されています。

具体的には、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」において、初診時は6点から17点へ、再診時は2点から4点へ、訪問診療時(同一建物居住者等以外)は28点から79点へと大幅に増点されています。

区分 改定前 改定後
初診 6点 17点
再診 2点 4点
訪問診療(同一建物居住者以外) 28点 79点
参考: 令和8年度診療報酬改定の概要_1.賃上げ・物価対応(賃上げ)(厚生労働省)

また、対象職種についても見直しが行われており、従来の「主として医療に従事する職員」から、「当該保険医療機関に勤務する職員」へと拡大されています。

これにより、看護師などの医療職に加え、事務職員を含めた全職種での賃上げ対応が求められる設計となっています。さらに、ベースアップ評価料はⅠとⅡに分かれており、Ⅱについては賃上げの実施状況に応じて段階的に点数が設定される仕組みとなっています。

加えて、今回の改定では「令和8年度および令和9年度において段階的な評価とする」とされており、全てのベースアップ評価料について点数が引き上げられていくことも予定されています。

引用:令和8年度診療報酬改定の概要_1.賃上げ・物価対応(賃上げ)(厚生労働省)

このように継続的に賃上げを行う医療機関ほど高く評価される構造となっている点も特徴です。

②外来データ提出加算から充実管理加算への見直し

今回の改定では、従来の「外来データ提出加算」は「充実管理加算」へと見直され、評価の考え方も大きく変更されています。

従来は、外来診療データを作成し、指定の形式で継続して提出することで評価される仕組みでしたが、改定後は生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)を算定する患者を対象に、継続受診状況や管理状況などの実績に応じて評価される仕組みへと変更されています。

点数については、従来の一律50点から、1人あたり10点~30点の加算へと見直されています。

項目 改定前 改定後
名称 外来データ提出加算 充実管理加算
点数 50点 10点~30点
評価方針 データ提出 実績・管理状況に応じて評価
データ作成負担(入力項目) 大きい(約70項目) 軽減(約35項目)
参考: 令和8年度診療報酬改定の概要_7.外来医療の機能分化・強化等(厚生労働省)

点数自体は引き下げられているものの、データ提出項目の見直しにより作成負担は軽減されており、算定に向けた実務上のハードルは大きく下がっています。

③医療DX関連加算の再編(電子的診療情報連携体制整備加算の新設)

今回の改定では、医療DXに関する評価体系が大きく見直され、従来の「医療DX推進体制整備加算」や「医療情報取得加算」などの加算は廃止され、「電子的診療情報連携体制整備加算」へと再編されています。

従来は、オンライン資格確認の実施やレセコン等を用いた診療明細書の発行体制など、個別の取り組みごとに評価されていましたが、改定後はこれらを含めた医療DX全体の対応状況について、実際の運用状況も含めて評価する仕組みへと変更されています。

項目 改定前 改定後
医療DX推進体制整備加算(1~6) 最大12点(初診) 廃止
医療情報取得加算 1点(初診・再診、月1回) 廃止
電子的診療情報連携体制整備加算(1~3) - 最大15点
参考: 令和8年度診療報酬改定の概要_7.外来医療の機能分化・強化等(厚生労働省)

従来も施設基準に応じていずれかの区分を算定する仕組みでしたが、今回の改定では区分が整理されるとともに、最大点数が引き上げられています。

一方で、施設基準はより厳格化されており、単にシステムを導入しているだけでなく、マイナ保険証の利用実績や電子処方箋の運用、電子カルテのセキュリティ要件など、実際の運用状況が評価に反映される設計となっています。

■電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準

引用:令和8年度診療報酬改定の概要_7.外来医療の機能分化・強化等(厚生労働省)

施設基準を踏まえると、オンライン資格確認や明細書発行といった基本的な体制整備に加え、マイナ保険証の利用促進や電子処方箋の導入など、実際の運用を前提とした対応を進めていくことが重要と考えられます。

④時間外対応加算の見直し(体制評価の強化)

従来の「時間外対応加算」は「時間外対応体制加算」へと名称が変更されるとともに、点数の引き上げが行われています。

これまで1〜5点だった評価が、改定後は2〜7点へと見直されており、時間外における患者対応体制の整備を行っている医療機関が、より高く評価される仕組みとなっています。

項目 点数 施設基準要件
加算15点7点
加算24点5点
加算33点4点
加算41点2点
参考: 令和8年度診療報酬改定の概要_7.外来医療の機能分化・強化等(厚生労働省)

これは、休日や夜間における問い合わせや受診への対応体制を強化し、地域の救急医療体制を支える役割を診療所にも求めていく方向性を示すものといえます。

かかりつけ医機能の強化や地域医療への関与を踏まえると、今後その重要性は高まると考えられるため、自院の体制や診療方針に応じた対応が求められます。

5.2026年度診療報酬改定に向けた経営対策案

資料をみて考える医師

2026年度の診療報酬改定では、クリニックにとって実質的な収益にはつながりにくい構造となっています。
こうした中で収益の観点から注目すべきは、外来データ提出、および充実管理加算への対応です。

①充実管理加算取得による増収メリット

充実管理加算は、対象患者数に応じて増収が積み上がる仕組みであり、患者数が多い医療機関ほど収益インパクトが大きくなります。

対象患者数/年間 増収額/年間(10点) 増収額/年間(20点) 増収額/年間(30点)
100名 12万円 24万円 36万円
300名 36万円 72万円 108万円
500名 60万円 120万円 180万円
700名 84万円 168万円 252万円
1,000名 120万円 240万円 360万円
※生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)算定対象患者数 × 充実管理加算点数(10点〜30点)、1点=10円で計算

さらに、従来の外来データ提出加算から検査数値の入力などデータ入力負担の大きい項目が削除されており、算定取得のハードルは下がっています。これにより、外来データ提出による収益を得やすい環境となっています。

なお、従来は、データ提出自体が評価される仕組みでしたが、今回の改定では、生活習慣病患者の「継続受診状況」や「管理状況」といった実績に応じて評価される仕組みへと見直されています。

これにより、患者の受診継続や管理の質がそのまま算定に影響する形へと変化しています。
そのため、外来データ提出の対応に加えて、患者の継続受診や管理体制をどのように構築していくかも、今回の改定における経営対策の重要テーマとなります。

②外来データ提出の経営メリット

今回の改定では、充実管理加算だけでなく、外来データ提出自体の重要性も高まっています。

具体的には、かかりつけ医機能に関する評価項目において、機能強化加算では外来データ提出が「望ましい」と明記され、地域包括診療料・加算では外来データ提出加算が新設されるなど、外来データ提出が評価に影響する方向性が示されています。

項目 改定内容
機能強化加算(80点) 外来データ提出が「望ましい」と明記
地域包括診療料・加算 外来データ提出加算(10点)が新設

このように、外来データ提出は複数の評価項目に影響する要素となっており、今後の経営対策として、優先的に取り組むべき領域といえます。

6.Kakariteで外来データ提出と受診管理を効率化

2026年(令和8年度)の診療報酬改定では、外来データ提出の重要性が高まるとともに、充実管理加算(旧:外来データ提出加算)においては、「継続受診」や「健診の有無」など、患者の受診管理に関する項目も評価対象となります。

本章では、外来データ提出の業務を効率化し、患者の受診管理まで対応できる患者管理システム「Kakarite(カカリテ)」をご紹介します。

①外来データ作成(外来様式1(FF1))の作成支援

カカリテは、外来データ提出の対応において、とくに作成負荷の特に高い外来様式1(FF1)ファイルの作成を支援します。

レセプトファイルをアップロードするだけで、作成項目の約9割の入力を自動化し、外来様式1(FF1)ファイルの作成負担を大幅に軽減します。

Kakariteの外来データ作成機能イメージ

②受診状況の可視化と離脱防止に向けたフォローアップ支援

カカリテは、患者データベースを構築し、充実管理加算において重要となる生活習慣病患者の「継続受診」の状況を管理・一覧化するための機能を備えています。

生活習慣病患者の継続受診状況を管理・一覧化

さらに、患者の受診状況や疾患に応じて属性を絞り込み、LINE・メール・SMSにて個別のメッセージ配信が可能です。一斉送信やステップ配信にも対応しており、継続受診促進に向けた効果的なアプローチが可能です。

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2026年の診療報酬改定でとくに注目される「外来データ提出」「充実管理加算」
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