2024.09.03

活用事例

効果的なWEB問診票の作り方とは?基本から診療科別、目的別の作成ポイントまで解説

WEB問診票は、医師が診察する前に患者の状態や過去の医療情報を把握するために重要なツールです。

待ち時間の短縮など患者側にもメリットがあるツールですが、より効果的に活用するためには、「どのようなWEB問診票を作るか」がポイントになります。

本記事では、WEB問診票の構造や作り方の基本、診療科、目的別のWEB問診票の作り方まで幅広く紹介していますので、ぜひお役立てください。

1.WEB問診票の基本的な流れ

悩む医師

WEB問診票を作成する前に、WEB問診票が患者のスマートフォンやパソコン上でどのような順番で表示されるのかを把握しておきましょう。

WEB問診システムの種類は多岐にわたりますが、基本的な構造は多くのシステムで類似しています。

今回は、レイヤード製品のWEB問診シムビューの問診構造をベースに、WEB問診票の一般的な流れ、構造について解説させていただきます。
なお、WEB問診票で表示される画面や順番は、各メーカにより異なりますので、あくまで一例としてご参考ください。

- 問診票の選択画面

メーカにより異なりますが、最初に患者が回答する問診票を選択する画面が表示される場合があります。

シムビューでは、「患者画面TOP」と呼びます。
診療科別の問診票はもちろん、疾患や検査別の問診票を作成することができ、それらを一覧表示することが可能です。
もちろん、「患者画面TOP」を介さずに、特定の問診票からはじめることも可能です。

- 利用規約画面

患者が利用規約に同意する画面です。

シムビューでは、デフォルトで共通の内容が表示されますが、利用規約の上部に説明文を追加することが可能です。

患者画面を介さずに特定の問診票への回答を患者へ促す場合は、利用規約画面から回答が始まります。

- 診察券番号・受診予定日入力画面

患者が診察券番号・受診予定日を入力する画面です。

シムビューでは、患者が院内で回答をしている場合、「問診回答日=受診予定日」とシステムが自動認識してくれるため、受診予定日入力欄が表示されないようになっています。

- 基本情報入力画面

患者が氏名、生年月日、性別、メールアドレス、電話番号、住所などの基本情報を入力する画面です。

シムビューでは、診察券番号と生年月日を入力すると、その患者が前回入力した基本情報を呼び出すことが可能なため、患者の入力負担を軽減できます(診察券番号の入力がない場合などは入力が必要です)。

なお、どの項目を入力させるかは管理画面で設定可能です。

- 問診票の入力画面

例)主訴の入力
例)随伴症状の入力

患者が主訴や現在の症状を入力する問診回答画面です。
多くの場合、問診内容に応じて自由入力やチェックボックス、選択形式など適切な入力形式の設定が可能です。

シムビューでは、主訴・随伴症状・発症時期・熱型表の4種類の予め用意されたデフォルト画面を表示したり、自由にカスタマイズ可能なオリジナル画面を表示したりすることができます。

画面や質問に出現条件も付けられるので、細かい出し分けが可能です。

- 回答内容確認画面

患者がすべての問診に回答した後に回答内容を確認できる画面です。

- 問診完了画面

問診回答送信後に表示される画面です。

シムビューでは、説明文(メッセージ)や画像、動画、外部リンクなどを表示できます。
どのような内容を表示するかについても出現条件を設定できます。

表示例
・「受付で問診回答済の旨をお伝えください」などのメッセージ
・検査前に視聴してほしい動画の掲載

2.WEB問診票を作る際の5つの基本

WEB問診システムの導入効果を最大限発揮するためには、院外での問診回答率を上げることがポイントです。

この章では、患者が回答しやすいWEB問診票を作るために気を付けるべき5つの基本についてご紹介します。

①専門用語を避けて、わかりやすい言葉を使う

問診票で重要なことは、患者の訴えや症状をできるだけ正確に引き出すことです。

専門用語を多用してしまうと、患者が内容を理解できなかったり、誤った認識で回答してしまったりする可能性もありますので、一般的でわかりやすい言葉を使うようにしましょう。

  • 言い換えの例

呼吸困難 → 「息苦しい」「息がしづらい」
倦怠感 → 「だるさ」「疲れやすさ」
浮腫 → 「むくみ」「体が腫れる感じ」
頻尿 → 「トイレに行く回数が多い」「尿が近い」
動悸 → 「胸がドキドキする」「心臓が早く打つ感じ」
発疹 → 「肌にブツブツができる」「皮膚が赤くなる」

しかし、診断の正確性を確保するため専門用語を使う必要があるケースもあると思います。
その際は、以下のように()で補足するのが有効です。

  • カッコ()補足の例

アナフィラキシー(急な重いアレルギー反応)
動悸(心臓が速くドキドキすること)
心筋梗塞(心臓の血管がつまる病気)
狭心症(心臓の血流が悪くなり、胸が痛む病気)

②質問項目をカテゴライズする

WEB問診票を効果的に作成するには、質問項目を適切にカテゴリー分けすることがポイントです。

例えば、症状に関する質問、既往歴、アレルギーや薬の使用履歴など、テーマごとにカテゴリを設けることで、患者が答えやすくなります。

③主訴は、部位や症状ごとにまとめて表示する

例えば、内科であれば、「頭が痛い」「鼻づまり」「咳」などを急性の症状(風邪や胃腸炎などの症状)としてまとめたり、耳鼻咽喉科であれば、「鼻水」「くしゃみ」などをはなの症状としてまとめたりです。

複数の症状がある場合でも、主訴を一つに絞ることで、患者は回答しやすくなり、医療者側も診察のポイントを明確にできるメリットがあります。

④「痛みの症状」は、主訴として切り分ける

診断するうえで、痛みの症状はとても重要な情報です。

最も気になる症状(主訴)が痛みの場合は、どの部位が痛むのか?どのような痛みなのか?など、深掘りして問診する必要がありますので、必要に応じて主訴として切り分けて表示するようにしましょう。

⑤質問項目が多くなりすぎないようにする

質問項目が多くなると、患者負担が大きくなり、ユーザビリティの低下や回答離脱の要因になります。

患者に負担をかけずに、必要な情報を収集するためには、患者の属性や回答内容に応じて質問の出し分けができるWEB問診システムがおすすめです。

患者の属性や症状に合わせて必要な質問のみを表示させることで、患者の負担をおさえて効率的に必要な情報を収集することができます。

なお、質問の出し分けは、質問項目数を抑えられるだけではなく、オンライン診療の利用者数アップや自費診療の検査依頼数アップなど、医療マーケティングに活用することもできます。

  • 問診出し分けの活用例

発熱外来…感染の可能性が高いと判断される回答をした患者に対してのみ、「オンライン診療の希望」の質問を表示

整形外科…変形性関節症とみられる症状が長期に渡っている場合「PRP療法への興味」の質問を表示

消化器内科…検査対象となる症状を選択した患者に対してのみ「内視鏡検査の希望」の質問を表示

WEB問診システムの医療マーケティング活用についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ弊社無料相談をご利用ください。製品資料でもご紹介しています。

3.診療科別のWEB問診票の作成ポイント

スマホでweb問診中

診療科によって主訴や随伴症状、患者の特徴も異なります。

それぞれの診療科に適した問診票を用意することで、患者の訴えや症状を正確に把握できたり、不要な質問が省かれることで、患者負担が軽減されたりとメリットがあります。

以下、診療科別のWEB問診票の作成ポイントや問診構造のご紹介です。
※問診構造例は、Symview問診広場より抜粋

- 内科

内科で対応する症状には、発熱や嘔吐、下痢などの急性の症状から、倦怠感や食欲不振といった全身的な症状、さらには、呼吸器系や消化器系、神経系の症状、心療内科的な問題に至るまで多岐にわたります。

複数の症状をもつ患者の問診が想定されますが、はじめに主訴を一つに絞ってもらうことで診察のポイントが明確になります。

  • 内科の問診構造例

- 耳鼻咽喉科

みみ、はな、のど以外にも、花粉症やアレルギー性鼻炎、いびきや睡眠など耳鼻咽喉科の受診内容を幅広くカバーすることがポイントです。

また、発熱の有無と合わせて、症状の詳細を確認する質問を設けることで、耳鼻咽喉科症状の発熱かコロナ疑いか等、事前判断の手助けも可能です(WEB問診を事前トリアージ利用する方法はこちら)。

  • 耳鼻咽喉科の問診構造例

- 小児科

小児科では、発熱や嘔吐下痢などの急性症状、アレルギー、軽度の外科症状、おねしょや発達の相談など幅広い相談が想定されます。
また、お子さんの飲めるお薬の種類や過去の予防接種歴の確認、便の様子、身長体重など小児科ならではの項目も必要です。

事前にWEB問診票をご利用いただくことで、保護者の負担軽減や、子どもの症状の聞き漏れ防止にも繋がります(小児患者が多いクリニックでのWEB問診活用方法はこちら)。

  • 小児科の問診構造例

- 呼吸器内科

発熱や咳、痰、鼻水・鼻づまり、のどの痛みなど、呼吸器内科でみる症状を主訴に設定します。
シムビューでは、問診内容により喘息の診断がある方には、喘息コントロールテスト(ACT)の自動計算も可能です。

  • 呼吸器内科の問診構造例

- 整形外科

外傷や筋・骨関節の症状について部位を確認することが多いため、シェーマから部位を選択して問診回答できるようなWEB問診システムがおすすめです。

また、聴取に時間のかかる日常生活活動についての問診内容も作成しておくことで、事前にリハビリテーションの適応判断にもつながります。

  • 整形外科のシェーマ問診例

WEB問診票は、患者が回答しやすいことはもちろん、医療機関側も使いやすい設計であることが重要です。
そのために弊社では、患者心理・行動を研究のうえ、問診設計に取り組んでおります。

すぐに使える問診を診療科ごとにまとめた資料をご用意していますので、お気軽にダウンロードしてください。

4.目的別のWEB問診票の作成ポイント

健康診断、慢性疾患の定期受診など、特定の診療目的に対応したWEB問診票があるとより効果的です。

また、WEB問診システムは、単なる問診票としてだけではなく、インフルエンザ予防接種の予診票、生活習慣病 療養計画書の効率的な作成にも活用できます。

以下、目的別のWEB問診票を作成するポイントや活用例のご紹介です。

- インフルエンザ予防接種

インフルエンザ予防接種(任意)の予診票もWEB問診として患者に回答してもらうことができます。
全ての質問への回答を必須にしたり、注意文等を読んで同意いただかないと問診終了できないようにしたりして、患者の記入漏れを防ぐことがポイントです(予診票としてのWEB問診活用方法)。

- 健康診断

健康診断用のWEB問診票を作成する際は、治療歴、服用中の薬、既往歴、嗜好歴など、健康診断時に確認が必要な質問を用意するのがポイントです。
また、食事、睡眠、運動など、生活習慣に関する詳細な質問も追加することで、より包括的な健康状態の把握が可能になります。

  • 健康診断の問診構造例

- 慢性疾患

慢性疾患問診用の問診票を作成する際は、高血圧、糖尿病、高脂血症などの既に診断された患者やその疑いがある新患を対象に、家族歴、既往歴、服用中の薬、生活習慣、運動習慣などを詳しく聞き取ることがポイントです。

これにより、初診時にかかる問診の時間を短縮し、患者の背景を事前に把握することで、効果的な指導ポイントを予め設定することができます。

また、栄養指導や糖尿病教室への関心も問うことで、興味を示した患者には来院時に積極的な案内を行うことが可能です。

- 発熱外来

発熱外来の問診票(新型コロナ治療薬検討用)を作成する際は、「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 第10.0版」に基づき、新型コロナウイルス感染症診断後の第一選択薬を検討するための質問を設定しましょう。

発熱外来の患者に確認するべき最低限の項目に加えて、新型コロナウイルスの重症化リスク因子など、治療薬の処方検討に必要な情報を含めることが重要です。

さらに、問診結果に基づいて、重症化リスクが高い患者には「パキロビッド処方検討可」、リスクが低い患者には「対症療法検討可」と自動的にラベルが表示される仕組みを組み込むと効率的です。

また、患者が入力した身長と体重から自動的にBMIを計算し、その結果をカルテテキストに表示して電子カルテに転記できるようにすることで、重症化リスクの判定に役立ちます。

  • 発熱外来(新型コロナ治療薬検討用)の問診構造例

- 生活習慣病療養計画書

生活習慣病 療養計画書の作成にもWEB問診は利用できます。
利用する際は、生活習慣病管理料算定に必要な情報を効率的に収集できるようにしましょう。

飲酒や喫煙、運動習慣などの生活指導に必要な情報、患者の身長・体重データなどです。また、患者の情報からBMIや標準体重を自動的に計算して表示する機能を組み込むとより効率的です。

さらに、患者に対して「治療が必要な理由」や「改善すべき生活習慣」を表示し、その後「自身で取り組みたいこと」を記載してもらうことで、医師と共に具体的な目標設定を行いやすくなります。

治療へのアドヒアランスを向上させながら、効率的に療養計画書を作成することができます。
さらに、シムビューでは、電子同意書を活用することで電子サインの取得まで可能になります。

WEB問診システムの生活習慣病 療養計画書の作成について、もっと詳しく知りたい方は、Symview電子同意書生活習慣病 療養計画書の作成をご確認ください。

5.お悩み事例別 WEB問診票の作り方

PCを見て悩む医師

事例①:WEB問診の回答で予約が完了したと勘違いされてしまう

WEB問診票への回答の際「受診予定日入力欄」の入力により、予約が完了したと勘違いされてしまう場合があります。

対応としては、WEB上の受診動線として「WEB予約システムで予約が完了した患者にのみWEB問診票のリンクを表示」させるのが効果的です。

しかし、ホームぺージ上にWEB問診票のリンクを表示しておきたいケースもあるでしょう。
その場合は、WEB問診票上で以下のような患者に予約を促す動線を作ることがポイントです。

1.予約に関する注意文をトップ画面や問診完了画面にポップアップ表示
3.受診予定日入力欄の下部にメッセージ表示

事例②:高齢者やスマートフォン操作が苦手な方の未回答が増える

様々なサイトでWEB問診のデメリットとして取り上げられることが多い「患者が利用しないケースがある」です。

弊社で2022年11月に実施した「問診回答状況アンケート」においても「WEB問診に回答しない患者はどんな方ですか」の回答結果は、8割以上が高齢者や操作が苦手な方となりました。
対応としては、以下のように、問診回答のハードルを下げてあげることがポイントです。

1.写真アップロードやフリーテキスト形式の質問をなくす
2.公式LINEに、WEB問診の回答ボタンを作る
3.高齢者用の短い問診や、スタッフ聞き取り用の短い問診の作成

詳しく知りたい方は、以下の活用事例をご確認ください。

事例③:「WEB問診を面倒くさいと思っている方/急いでいて時間が無い方」が回答してくれない

患者の認識として、WEB問診を回答するメリットよりもデメリットが上回っている際に、問診に回答していただけないようです。

患者の状況にもよりますのでやむを得ない場合もありますが、WEB問診を回答するメリットについて、以下のような訴求ができれば、回答数が増えることがあります。

1.ホームページ等に「WEB問診に回答するメリット」(待ち時間が短くなる/未回答の際より来院時に早く案内できる/感染症対策/より良い診療を受けられる)について記載しておく
2.回答時間の目安(所要時間3分など)を問診票のタイトルにいれておく

6.WEB問診の導入効果を最大限発揮するならレイヤードにお任せください

スマホでWEB問診

WEB問診システムの効果を最大限活かすための効果的なWEB問診票の作り方についてご紹介しました。

各メーカから様々なWEB問診システムが出されていますが、どのシステムを選択するにしても共通して重要となるのは、「患者視点を考慮した問診設計」です。

  • 患者視点を考慮した設計のポイント

1.質問内容のわかりやすさ
2.患者視点を考慮したインターフェース
3.プライバシーやデータ保護
4.患者の属性、回答に合わせた適切な質問の出し分け

弊社では、上記のポイントをおさえた問診テンプレートを診療科別、目的別にご用意しています。

また、無料相談では、診療科目や診療内容に合わせてどのようなWEB問診が必要か、患者への案内導線はどうすべきか、実運用を見据えたご提案をさせていただきますので、WEB問診票の作り方、運用についてお悩みの場合は、ぜひご相談ください。

株式会社レイヤード
自社開発のWEB問診シムビューは、全国約1,800以上の医療機関に導入され、月間の問診回答数は単月で130万件を突破(累計でも1000万件を突破)しています。その実績を基に、WEB問診システム導入検討時の役立つ情報や、実際のユーザの活用事例なども発信しています。
※記載の情報は2024年9月末時点の情報

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