2018.10.25
ユーザの声
Symview共同開発医師に聞く
WEB問診の価値とは?
横須賀線の東戸塚駅に隣接するおおくぼ総合内科クリニック。院長の大久保先生とはWEB問診Symviewがまだ企画段階であったタイミングからご興味を持って頂き、データ作りから共同で開発を進めてきました。
その後、まだ製品が未完成な段階から実際にクリニックで利用を開始頂き、約2年にわたって現場での利用とフィードバックを頂きました。今回は企画段階でWEB問診に興味を持っていただいたそもそもの狙いと、実際にクリニックで利用してみての感想を、大久保先生および事務の池田さんにお答えいただきました。
患者さんからどんな情報をどうやって集めるべきかを体系化したい
企画当初、WEB問診に興味を持っていただいたのはなぜですか?
(先生)診察において患者さんからの情報は非常に重要ですが、どんな情報をどうやって集めたらいいのかということになると意外に医師の中でも体系化されていないことも多く、受付とか看護師に問診をとってもらおうと思っても、教えることが非常に大変なんです。結局、医師ではないので技術的な限界もあります。問診上、医療的にあるべき手順というものが示された方が良いし、その決まった手順で行った問診結果を事務も看護師も見ることで、何が必要なのかわかってくるでしょうし、診断の精度自体も上がっていくのではないかと考えました。
受付での予備問診業務が劇的に効率化
実際にクリニックで利用し始めてからはいかがでしたか?
(先生)当初は機能面とか安定性という部分ではまだまだなところがありましたが(笑)ずいぶん落ち着いてきました。スムーズに流れれば、診察までのスピードは紙を使って問診を行っていたころに比べても非常に早くなりました。特に患者さんの問診をとってからそれを確認して診察室に来るまでの時間が早くなっています。
導入前は紙の問診に記入頂いてから、受付の方で更に細かく患者さんの症状などのヒアリングを行って(予備問診)カルテに記載するような流れだったんですよね?
事務 池田さん)そうですね。問診票が手書きの頃は確認事項も多かったですし、受付してから問診をカルテに入れ込むまでにある程度の時間はどうしても必要だったんですけど、今は患者さんの書いた問診を確認してコピペするだけなので、かなりスピーディーになりました。あと、前はカルテに書く時にフォーマットがあって、それを埋めていく形だったんですけど、確認したつもりでも書き間違いがあったりしました。そういった業務もなくなったのでかなり受付側は時間短縮になっています。
(先生)たまに紙で問診を取るときもまだありますが、そんなときに受付の予備問診がかなり的確になってきたなと感じています。おそらく問診システムの利用を通じて質問条件等に見慣れてきたのもあるんではないかと考えています。そういう意味では教育的な意味合いも実現できているように思っています。
高齢者でもスマホを使うようになったのが大きい
おおくぼ総合内科では、もう運用をはじめて2年になりますが、患者側の反応はいかがですか?
(先生)患者さんのITスキルが、徐々に上がってきてると思います。5年前だったらちょっと難しかったかもしれないですが、今だとみなさんかなりスマホにも慣れてきているので、できるかなと思っています。導入してみて、意外に抵抗なくやれる人が結構いるという印象ですね。
(池田さん)最初は、70代の方は絶対に紙っていう方がほとんどだったんですけれど、ここ最近は皆さん携帯がスマホになってきたせいか、高齢者の方でもかなりWEB問診を使っていただけるようになりました。感覚的には問診が必要な患者さんの9割にWEB問診を利用していただけています。ただ熱があったりぐったりしている方は紙を求められるので、その辺は受付で無理はさせずに見極めて紙も併用しています。
問診からの推論疾患リストをつけることで診断の見落としを防ぐ
開発時に医師としてどんなことを気をつけましたか?
(先生)企画時に決めたのは「一般的な内科の枠で、幅広い疾患を診るクリニックを対象にしていこう」ということでした。専門化した深い領域はターゲットから外しました。ただ幅広い領域で診ていても見逃してはいけない病気っていうのもありますので、それがきちんとチェックできることは重要だと思います。また疾患の枠組みも日々変化して新しい疾患概念が出てきたりしますが、医師としてはそういったことに追いついていく必要もあります。そのため、問診をとるだけでなく、問診から推論される診断リストが得られるようにということが当初からの目標となっています。そのリストにざっと目を通すことで見落としがちな病気を見落とさなくなり、新しい疾患概念にもついていけるようになればいいなと思っています。
将来的にはAIを取り入れることで精度が上がっていってほしいなと思ってます。
編集後記
もともと大久保先生は弊社のサイネージ(メディキャスター)のユーザという繋がりでした。クリニックにお邪魔したときに、複数の問診票を使い分けていて、更に受付側で予備問診をして診察前に事前にカルテに記載している様子を見させて頂いてWEB問診のヒントとさせていただきました。一緒に開発をするにあたり、気をつけた点はひとりの医師の見方に偏ることなく、なるべくスタンダードと言える医療を採用していこうというものでした。最初の疾患及び症状のデータを作るだけでも様々な文献などを頼りに2年近くもかかりました。その間、根気強く「医療システムとしてどうあればドクターを支援できるか」という視点で常に方向性を示していただいたからこそ、製品としてリリースでき、現場の医療機関でご評価いただくようになったと感謝しています。
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