2022.04.21

活用事例

小児かかりつけ診療料:業務負荷をかけずに患者同意を増やすWEB問診活用術

2022年の診療報酬改定のポイントの一つとして、かかりつけ医の普及が挙げられます。

特に小児科の場合、小児コロナワクチン接種の際にかかりつけ医に相談することが明示され、患者側の関心も高まったように感じます。

今回の改定で「小児かかりつけ診療料」の施設基準が緩和しましたので、今年度より算定を開始する医療機関も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、小児かかりつけ診療料の患者同意についてWEB問診を活用し効率化する方法をご紹介します。

施設基準が緩和された小児かかりつけ診療料

小児かかりつけ診療料はかかりつけ医として患者の同意を得た小児科が、助言や指導などしながら継続的に行う医療を評価したものです。対象の患者は同じ医療機関を4回以上受診した未就学児で、患者一人につき一つの医療機関しか算定できません。

施設基準としては以下のように時間外対応などが求められていますが、今回の改定から緩和されたことで算定が行いやすくなっています。

小児かかりつけ診療料の施設基準 ※一部抜粋、小児かかりつけ診療料2の内容

  • 小児科を標榜している
  • 小児のかかりつけ医として療養上必要な指導等を行うにあたり必要な体制が整備されている
  • 診療時間以外の時間において、患者またはその家族から電話等により療養に関する意見を求められた必要な対応ができる体制が整備されている
  • 次のいずれかの基準を満たしていること
    ・時間外対応加算3の届出を行なっている
    ・在宅当番医制等により、初期小児救急医療に参加し、休日または夜間の診療を年6回以上の頻度で行っている

また、小児かかりつけ診療料1と2があり診療報酬は以下のようになります。

小児かかりつけ診療料1

  • 処方箋を交付する場合 初診時641点 再診時448点
  • 処方箋を交付しない場合 初診時758点 再診時566

小児かかりつけ診療料2

  • 処方箋を交付する場合 初診時630点 再診時437点
  • 処方箋を交付しない場合 初診時747点 再診時555

初診料や処方箋料をそれぞれ算定ではなく、包括での算定となり、診療の内容に関係なく一律の点数を請求します。

検査の点数などが算定できないため、多くの検査が可能な場合は逆に点数が低くなってしまう場合もあります。とはいえ初診料の251点と比較しても高い診療点数に設定されていますので、自院の特徴や患者層を考えながらではありますが、できれば算定できるようにしたい診療報酬かと思います。

算定するために患者に行う対応としては、慢性疾患の管理・指導、健診や予防接種の状況把握・指導、時間外対応などが挙げられます。

算定には患者同意を得ることが必要

小児かかりつけ診療料の算定には、まず患者の同意を得る必要があります。従来では紙の同意書を使って以下のような流れで同意を得るケースが多いかと思います。

1.患者への周知

ホームページやパンフレット、院内掲示などで患者に小児かかりつけ医について周知します。

2.患者の希望確認

スタッフなどが来院された患者に概要を説明し希望を確認、または希望者からスタッフに声をかけてもらいます。

3.説明と同意

スタッフが希望された患者に対して詳細を説明し、書面で同意を得ます。

4.同意書の保管

交わした同意書をスキャンして電子カルテに保管、または紙カルテと合わせて保管します。

この流れで同意を得ている医療機関は、スタッフの時間と手間がかかり、同意に時間がかかることから積極的な案内ができないことがネックではないでしょうか。

そこで、これらを解消するWEB問診の活用方法をご紹介します。

業務負担を増やさずに同意を得るWEB問診活用

WEB問診は患者のスマホで来院前に詳しい問診に回答してもらうことができます。Symviewは質問のカスタマイズも可能で、問診内に周知や同意の文面を追加することも可能です。今回の同意の流れでは2つの活用方法をご紹介します。

①WEB問診で対象となる患者のみに案内

WEB問診に回答した未就学児の患者に「小児かかりつけ診療料」に関する質問を表示します。

風邪症状などの一般診療の際に回答するWEB問診の中に「小児かかりつけ医登録の希望」を確認する質問を追加し、問診内で表示することによって多くの患者に周知・案内することができます。

②サイン機能を使った同意

Symviewの機能のひとつ“サイン機能”を活用すれば、同意のサインについてもスマホ上で行えるためWEB問診の中で同意を得られます。同意の文面を表示し、「同意します」などのボタンを押した後にサインをいただく流れで運用できます。

▲“サイン機能”スマホのタッチパネル上でサインが可能です

①で小児かかりつけ診療料の登録を希望する患者にはそのまま②の同意に進むようにすれば、一連の流れをWEB問診上でできるようになります。スタッフがこれまで直接行っていた同意に関する業務負担を軽減することができます。具体的な内容と同意までの流れは次に紹介します。

Symviewで同意を得る流れ

WEB問診Symviewを活用して小児かかりつけ診療料の同意を得る際の運用フローを説明します。
基本的には従来の紙の同意書で紹介した流れと同じですが、各パートでWEB問診を活用します。

1.患者への案内と希望確認
2.患者の同意
3.同意書の保管

以下、それぞれの内容について詳しく説明します。

1.患者への案内と希望確認

WEB問診を使って、患者への案内と希望の確認を同時に行います。
一般診療で来院する患者のWEB問診内で概要説明と、希望を確認する質問を表示します。

WEB問診での表示例は以下のようになります。

Symviewでは各質問に対して、対象の患者を絞れるように条件設定が可能です。この質問は6歳未満で診察券を持っている(=受診歴が1度でもある)患者に対して質問を表示します。

2.患者の同意

1で「当院をかかりつけ医として登録したい」を選択した患者がその問診に回答した後に、「小児かかりつけ医登録の同意書」のWEB問診へ自動で移行します。

同意書の中では、より具体的な対応内容の説明や注意事項をよく読んでもらい、最後に患者・保護者の氏名をサイン機能で記載してもらいます。

WEB問診を使った同意書の例は以下のようになります。

3.同意書の保管

同意の内容はSymview上で5年間保管されます。PDFとして出力し、電子カルテなどに紐づけて保管することもできます。

▲PDFとして出力される内容

このようにサインまでの一連の流れをWEB問診上で完結できるため、人手をかけずに同意を得ることができます。また、対象となる患者に希望を確認する質問を表示させることで、対象患者すべてに漏れなく案内をすることができます。結果、スタッフの業務負荷をかけずに、算定できる患者数を増やすことにつながります。
あわせて、ペーパーレスで対応できるため、同意書の紙を印刷する手間や保管するスペースの削減にもつながります。

運用上の注意点として、小児かかりつけ診療料は4回以上の受診で算定可能になりますが、同意時には受診回数が4回未満のケースも生じます。このようなケースでは同意から算定までに時間差がありますので、電子カルテにメモを残すなどして算定の漏れがないように注意してください。

以上、WEB問診を活用した小児かかりつけ診療料の同意についてご紹介しました。

なお、小児かかりつけ診療料では時間外対応が求められるため、医師の携帯などをホームページに掲載しかかりつけでない患者からの連絡が入るなど、お悩みの声をいただくことがあります。
弊社の電話自動応答システムを併用し、患者をスクリーニングすることで負担が軽減した事例もございます。

WEB問診、電話自動応答システムを組み合わせた運用のご提案もさせていただきます。小児かかりつけ診療料の届出を出されている医療機関様は、ぜひお気軽にご相談ください。

また、Symviewのユーザ様も活用方法についてのご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください。

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