2025.06.27
活用事例
クリニックの無人受付とは?導入方法やメリット、注意点などを詳しく解説

オフィスビルや商業施設、ホテルなどで進む受付業務の無人化。
人手不足の解消や業務効率化が求められるなか、クリニックでも受付の無人化に対する関心が高まっています。
一方で、「医療機関で本当に受付業務を無人化できるのか?」「自動再来受付機や自動精算機と何が違うのか?」といった疑問を持つクリニックも少なくありません。
本記事では、医療業界における無人受付の現状や課題、実際の導入方法やメリット、注意点までをわかりやすく解説します。
1.クリニックの無人受付とは

クリニックの無人受付とは、複数のデジタルシステムを活用して、予約確認・来院受付・診察呼び出し・会計案内などの受付業務を自動化・省力化する仕組みです。
従来、対面で行っていたこれらの業務をシステムに任せることで、患者一人あたりにかかる受付業務を大幅に削減することが可能です。
自動再来受付機と「無人受付」の違いは?
現状、医療業界において「無人受付」の解釈には幅があり、自動再来受付機の導入など、一部の業務を自動化する場合も"無人受付の導入"として紹介されることがあります。
しかし、自動再来受付機は、あくまで再来患者の受付を無人化するための一つのシステムに過ぎません。
クリニックの受付業務は、再来受付に限らず、予約対応・問診取得・電話対応・会計処理など多岐にわたります。そのため、クリニックの受付業務全体を無人化するためには、単一のシステムだけでは不十分です。
予約から受付、問診、会計までの一連の診療フローを無人化するには、以下のような複数のデジタルシステムを組み合わせた運用が必要となります。
▼クリニックの受付無人化に必要なシステムや機能
- WEB予約 / WEB問診システム
- 患者受付システム(自動再来受付機など)
- 電子カルテ自動チェックイン
- 顔認証等による本人確認
- 電話自動応答システム
- 自動精算機 など
これらのデジタルシステムや機能を適切に連携させることで、患者の受診時における一連の診療体験を無人で提供でき、クリニックの無人受付を実現することが可能になります。
どの業務を自動化するか、どのシステムを導入するかは、各クリニックの課題や診療体制、患者層に応じて最適化していくことが重要です。
2.クリニックにおける無人受付の現状と課題

2025年6月現在、クリニックにおける受付業務の無人化は、自動再来受付機や自動精算機、電話自動応答システムなど、一部業務の自動化にとどまっています。その背景には、医療機関特有の無人受付の課題が挙げられます。
▼医療機関特有の無人受付の課題
- 保険証・医療証の確認
- 直来患者/高齢者の対応
- 診察券での運用
例えば、新規患者や、1ヵ月以上間隔が空いた再来患者の対応では、健康保険証の確認が必要となるため、有人対応が求められます。また、診察券による本人確認のため、窓口での提示・受取りを必要としているクリニックも多く存在します。
このような理由から、他業界における無人受付と比べると、医療業界の無人受付は限定的な対応にとどまっている現状です。
クリニックの無人受付の必要性
厚生労働省のデータによると、労働人口の減少により人材不足が深刻化しており、とくに医療業界では受付スタッフの確保が困難になっています。実際、保健医療サービス業の有効求人倍率は3.79倍と非常に高く、1人の求職者に対して複数の求人がある状況です。
参考:厚生労働省「令和6年12月 職業別 有効求人倍率(中分類37 保健医療サービス職業)」[出典:熊本労働局 公表PDF]
こうした人材難は、今後ますます加速すると見込まれており、クリニックの無人受付の重要性は一層高まっています。さらには、従来のような限定的な無人対応だけではなく、新規患者や1ヵ月以上空いた再来患者などの受付対応の無人化、診察券に依存しない運用など、クリニックの無人化領域の拡大も求められています。
弊社レイヤードでは、このようなニーズに応えた医療機関専用の「無人受付ソリューション」を開発しました。資料請求や個別相談会のお申し込みも受付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
3.クリニックの無人受付3つの導入メリット

他業界と比較すると、まだまだ限定的な対応にとどまっているクリニックの無人受付ですが、導入により多くのメリットが期待できます。
①受付業務の省力化
受付業務の多くを患者自身が対応できるようになり、スタッフの負担を大幅に削減できます。
予約確認、来院受付、問診案内、電子カルテの受付登録、会計案内といった業務をシステムが代替することで、人に依存しない受付フローの構築が可能になります。
▼自動化、省力化できる業務例
※導入するデジタルシステムの種類、数によって異なります。
- 診察券・保険証の受取り
- 保険証のコピー
- 電子カルテ受付登録
- 予約システム来院登録
- 問診票記入依頼・受領
- 問診のカルテ入力
- 会計業務
②人手不足の解消と人件費の削減
無人受付の導入により、予約確認・来院受付・診察呼び出し・会計案内といったルーティン業務の多くをシステムで代替できるようになります。これにより、限られた人員でも安定的な運営が可能になります。
また、 人手不足が深刻化する中でも、最低限の人数で現場を回せるようになるため、採用コストや人件費の削減も期待できます。
④診療全体の効率化
予約確認・本人確認・問診情報の取得・カルテ連携といったクリニックの受付業務をを自動化することで、 人による業務のばらつきや入力ミスが起こりにくくなり、よりスマートで効率的な診療体制の実現が可能です。
また、対面での患者対応の負担が軽減されることで、スタッフに心の余裕が生まれたり、残業時間が減ったりと、働きやすい環境作りにも貢献します。
- ヒューマンエラーの削減
予約情報や問診内容、保険資格情報などが自動連携されることで、入力ミスや患者情報の取り違いといった人的ミスを抑制できます。
- ピーク時の混雑緩和
複数台の受付端末や自動精算機の活用により、来院時や会計時の処理が分散され、混雑の緩和・滞在時間の短縮につながります。
- 受付スタッフの心理的安全性
受付業務を患者自身が行うことにより受付が遅い、受付スタッフの態度が悪いなど受付に向けられるイライラがなくなります。マルチタスク負荷の軽減や対応業務の標準化により、精神的な負担も軽くなり、離職リスクの低下にもつながります。
さらに、弊社レイヤードでは、
医療機関特有の無人受付の課題を解決し、新患や直来患者などの来院パターンにも対応した「無人受付ソリューション」を開発しました。
従来の無人受付の形より多くのメリットが期待できます。資料請求や個別相談会のお申し込みも受付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
4.クリニックの無人受付の導入方法

クリニックの無人受付は、複数のデジタルシステムを組み合わせることで実現します。
しかし、一言で「無人受付の導入」といっても、クリニックごとに抱える課題や患者層は異なるため、導入するべきシステムや無人化領域はそれぞれ異なります。
本章では、無人受付を導入する際の基本的な手順と考慮すべきポイントなどを解説します。
Step 1:受付業務の現状を可視化する
まず、自院の受付業務を整理・可視化し、どの業務に時間・人手がかかっているのか等を把握します。そのうえで、無人化すべき業務、自動化可能な業務を明確にすることがスタートラインです。
▼可視化するポイント
- スタッフが最も負担を感じている受付業務はどこか
- 診療フローの中で、システムに代替できそうな部分はどこか
- 患者にとって利便性が向上する診療フローはあるか
これらを整理することで、自院にとって最適な無人受付の体制がみえてきます。
Step 2:必要なシステムを選定する
現状、クリニックの受付業務のすべてを無人化できるシステムやサービスはありません。そのため、複数のメーカーのシステムを組み合わせ・連携させるのが一般的です。
▼主な機能と自動化できる業務例
- WEB予約システム:予約対応、予約台帳の作成
- WEB問診システム:問診案内、事前の問診情報の取得
- 受付端末(再来受付機):来院時のチェックイン対応、本人確認
- IVR(自動音声応答):電話対応
- 電子カルテ連携:予約や問診情報の同期、患者来院ステータスの更新
- 自動精算機やスマート決済:会計対応、領収書の発行
Step 3:試験導入や段階的な運用でスムーズに定着させる
システムを導入する際には、試験導入期間を設けると安心です。試験導入を通じて、現場での運用課題や患者の反応を把握し、本格導入に向けた改善を行うことができます。
▼試験導入で確認するべきポイント
- スタッフのオペレーションは問題ないか
- 患者はスムーズに操作できているか
- 想定外のトラブルや混乱が発生していないか
- トラブル時の対応フローが整備されているか
また、対象患者を段階的に広げていく方法もあります。
例えば、まずは、「WEB予約とWEB問診を導入して、予約と問診対応の業務を自動化する」「再来患者のみ無人受付端末で対応する」などです。少しずつ適用範囲を広げていくことで、トラブルを少なくクリニックの受付無人化を進めていくことができます。
5.クリニックの無人受付を導入する際の注意点

クリニックの無人受付の導入は、受付業務の省力化や人手不足の解消など多くのメリットがある一方で、患者対応やシステム面での注意点もあります。
現場の混乱を避け、患者満足度を維持するためには、事前の準備と柔軟な運用体制が欠かせません。最後に、クリニックの受付を無人化するうえで注意するべきポイントを紹介します。
①高齢者やシステム操作が難しい患者への対応
無人受付は、すべての患者にとって使いやすいとは限りません。
特に高齢者やデジタル操作に不慣れな患者は、操作に戸惑い、ストレスを感じることがあります。
こうしたケースに備え、以下のような体制の整備が求められます。
- 視認性の高い大きなボタンや、ATMのような馴染みのあるデザイン
- 操作ガイドの掲示や音声案内サポート
- 「生年月日+電話番号」などわかりやすい情報での照合フロー
- 必要に応じてスタッフが対応できる体制
- 多言語対応
誰でも直感的に操作できるインターフェース設計と、人による補助の両立が、円滑な運用の鍵となります。
②トラブル時の備え
システム導入後には、端末の不具合や通信障害など、トラブルが発生する可能性もゼロではありません。
無人受付を本格運用する際は、以下のようなリスク対策が重要です。
- ベンダーのサポート体制を事前確認
- トラブル発生時の対応マニュアルの整備
- 紙の問診票や手書き受付のバックアップ手段の用意
- スタッフ向けの研修や緊急時の想定訓練
③無人・有人の切り分けと対応体制の整備
従来のクリニックの無人受付は、新患や1ヵ月以上間隔が空いた再来患者には有人対応が必要になる等、無人化が難しい領域も残されています。
そのため、「どの来院パターンは無人対応できて、どのパターンは有人対応が必要か」など、院内で対応フローを把握しておくことが重要です。あわせて、患者への案内や院内導線の整備なども必要です。
クリニックの受付無人化の導入にあたっては、無人・有人のバランスを最適化することもポイントです。
6.レイヤードより「無人受付ソリューション」のご紹介

人材不足の深刻化や業務効率化の必要性が高まるなか、クリニックにおける無人受付の導入は、安定した医院経営を支える有効な手段として注目されています。
しかし実際には、健康保険証の確認やコピー対応など、どうしても有人対応が必要な業務も残されており、医療業界全体での導入はなかなか進んでいないのが現状でした。
こうした背景を踏まえ、レイヤードでは、医療機関専用の「無人受付ソリューション」を開発しました。
医療業界における無人受付導入時の課題を解決し、新患や直来患者などクリニックのさまざまな来院パターンに柔軟に対応した無人受付システムです。資料請求や個別相談会のお申し込みも受付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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