2025.12.17
導入事例
無人受付は新規開業時からの導入が正解?
患者利用率98%を実現する皮膚科クリニックのDX戦略

神奈川県藤沢市に開業した湘南ジンベエ皮膚科様は、皮膚科という診療特性に合わせて、診療スピードと患者体験の質の両立を追求しながら、地域の子育て世代・ファミリー層に向けた医療提供に取り組んでいらっしゃいます。
開業当初からシステム活用を前提とした診療体制を構想し、予約・WEB問診の導入に加えて、無人受付ソリューションを新規開業時から導入し、受付業務のスムーズな運用と、スタッフのゆとりある対応の両立を実現されています。
導入からわずか数ヶ月で、無人受付の利用率は98%を超え、患者側の操作も自然に定着。受付スタッフは最小限の体制でも対応可能となり、特に子育て世代との接点が多い地域性において、高い利便性と相性の良さを発揮しています。
今回は、湘南ジンベエ皮膚科院長・塩味達也先生、副院長・塩味由紀先生に、無人受付を開業時から導入した狙い、オペレーション上の工夫、そして皮膚科ならではのスピード感ある診療におけるシステム活用の考え方についてお話を伺いました。
子育て世代を見据えた医療提供の場として最適な立地と物件を選定
― ― 開業場所や物件の決定にあたって、重視したポイントはどこでしたか?

クリニックの構想を練る段階でまず重視したのは、"どのような患者層に、どのような医療を届けたいか"という点でした。
私たち自身も子育て中で、同じような子育て世代・ファミリー層にとって通いやすく、安心して受診できる場を提供したいという想いが根底にありました。
開業エリアを選ぶ際には、駅からのアクセスや物件の動線、地域の人口構成などを丁寧に調査しました。
その中で、医療モールとして立ち上がったばかりのビルに巡り合い、タイミング・条件・地域ニーズがちょうど重なったことが決定の後押しとなりました。
結果として、現在の立地は学生や子育て世代の多い住宅エリアに隣接しており、想定していたターゲット層とも非常に親和性が高いと感じています。
診療の内容やオペレーションも、初期段階からこの層に合うように設計してきました。
診療スピードと待ち時間削減の両立には開業時からシステム導入が不可欠
― ― 開業時に掲げたクリニックのコンセプトを教えてください。

皮膚科はどうしても1人あたりの診療単価が高くない傾向にありますので、しっかりと患者数を回せる診療体制が必要です。ただ、単に回転率だけを重視してしまうと、患者さんの満足度が下がってしまいます。
そこで重要になるのが、“人がやるべき業務”と“システムで効率化できる業務”を分けて、使えるシステムはどんどん使っていきたいというというイメージを持っていました。
ですので、開業前から会計や予約、そして受付などに積極的にシステム導入を検討し、どんなフローで患者さんが動くか、どの部分にスタッフが必要かを設計し、開業時からDXを前提にした運営設計を行っていました。
待ち時間を減らしつつ、診療スピードを保つという命題に対して、システム活用は欠かせない要素だと考えています。
無人受付は“後から”ではなく“最初から”という考え
― ― 無人受付を新規開業時から導入した背景を教えてください。

無人受付の導入については、開業準備段階から「後から入れるのではなく、最初からある状態をつくっておきたい」と考えていました。その理由は、運用面・患者対応の両方において、“最初から”であることのメリットが非常に大きいと考えたからです。
まず、患者さん側の受け入れやすさという点があります。
最初から無人受付が運用されていれば、それが「このクリニックのスタイル」として自然に受け入れられますし、はじめて来院された患者さんも「ここはこういう受付方法なんだな」とすんなり理解しやすくなります。
逆に、途中から受付方法を変えると、どうしても混乱や不満が生じやすくなります。
“ルール変更”ではなく“開業当初からの前提”にしておくことで、患者さんにとっても自然な体験になると考えました。

もうひとつは、オペレーション設計との親和性です。
受付業務をどう回すか、スタッフを何名で配置するか、動線をどうするか、これらはすべて、システムの存在を前提に組み立てる必要があります。
そこで無人受付を最初から導入しておくことで、業務フローをシンプルに設計することができました。受付機が担う部分とスタッフが担う部分の線引きが明確なので、ミスや混乱も起きづらいと感じています。
無人受付は単なる設備のひとつではなく、クリニックの診療方針や運営戦略そのものに関わる中核的な要素です。だからこそ、開業初期の段階で導入する価値が非常に大きいと判断しました。
患者利用率は98%以上・導入初期から定着し、スタッフ・患者双方のストレスも軽減
― ― 無人受付を導入してみて、具体的にどのような変化がありましたか?
当院での無人受付の利用率は非常に高く(98.91%、2025年11月時点)、導入から間もない時期にもかかわらず、ほとんどの患者さんが自然に活用している状況ができています。とくに、現役世代や子育て世代といった、タブレットやスマートフォン操作に慣れた層が中心という地域特性もあり操作方法でつまずくケースはほとんど見られません。
また、スタッフ側の業務負担も軽減されていると感じています。とくに大きな変化として実感しているのが、「保険証をスタッフが預からずに済む」という点です。受付において患者と直接のやり取りが発生しない分、スタッフの心理的な負担も減り、「保険証を受け取った瞬間から『まだ呼ばれないのか』という圧を患者さんから感じる」というような状況もなくなっています。
また、受付票の発券や情報確認も端末上で完結するため、スタッフが次に行うべき業務への移行がスムーズになり、受付まわりの滞留が発生しづらくなっています。
患者側も、“受付完了”がはっきりと可視化されるため安心感があり、動線も明確です。結果として、患者体験全体の中で受付のストレスが小さくなり、待合室の雰囲気も落ち着いたものとなっています。
導入から数ヶ月ですが、無人受付はすでに受付オペレーションの中に定着しており、「無人受付があることが普通」という状態を構築できたと考えています
無人受付の導入によって、受付業務に“スタッフ1人分に近いゆとり”が生まれた
― ― スタッフの配置や業務効率の面で、無人受付の貢献度はいかがですか?

受付は現在2名で構成していますが、この無人受付を導入したことによって、効率的な対応が可能になったのは確かです。
とくに朝や夕方など来院が重なる時間帯や、自由診療・電話対応が発生するタイミングでは、受付業務が非常に集中します。そのなかで、無人受付機が保険証確認や受付処理を担ってくれることで、人的リソースにかかる負担が軽減されています。
操作についても、事前に予約をされている患者さんであれば、名前などの基本情報が自動的に表示されるため、画面操作は数タップで完了します。ご年配の方であっても、1〜2回の使用で慣れるケースが多く、特に大きなトラブルも発生していません。
今後、患者数がさらに増えていくことも想定されますが、無人受付があることでスタッフの追加が急務にならず、運用に余裕を持てる点は非常に大きな価値だと感じています。
目的に合わせて積極的にDX化。無人受付は診療の質を守る手段のひとつ
― ― 今後の運営や医療DXに関するお考えを教えてください。

医療DXについては、“目的を明確にした上でシステムを積極活用する”というスタンスを大切にしています。
効率化そのものが目的というよりも、どういった診療体制を作りたいか、どんな医療を提供したいか。その目的に合ったシステムであれば、これからも積極的に導入・活用していきたいと考えています。
今回の無人受付も、受付業務を効率化というだけでなく、スタッフの業務負担を減らして、限られた時間の中でより良い対応ができる環境を整えるという目的もあって導入しました。実際に導入してみて、想定していた以上にスムーズに稼働しており、業務全体にゆとりが生まれたと感じています。
また、開業当初からの想いとして、もっとこの地域に根ざした医療を提供していきたいという気持ちがあります。地域の患者さん一人ひとりと向き合いながら、必要な技術は取り入れつつ、信頼される診療体制をつくっていきたいと思っています。
その意味でも、DXは手段のひとつであって、目的は“地域に合った医療のかたち”を実現することだと思っています。今後も、現場で感じる課題や患者さんの声を大事にしながら、無理のない形でシステムを取り入れていく方針です。
編集後記
湘南ジンベエ皮膚科様の取材では、「開業時からDXを前提に診療体制を設計すること」の意義が非常に印象的でした。
無人受付を“当たり前の存在”としてスタートさせたことで、患者にもスタッフにも無理なく定着し、結果として利用率98%以上という高い効果を生んでいます。ご開業時の判断が、日々の安定運営と患者満足につながっている好例として、今後の新規開業を検討されている先生方にも多くのヒントがあると感じました。
なお、お二人は診療だけでなく、医療をよりわかりやすく伝える取り組みにも積極的に挑戦されており、公式InstagramやYouTubeチャンネルを通じて、日々の診療や医療に関する情報を発信していらっしゃいます。また、現在は子ども向けに塗り薬の使い方を楽しく学べる絵本を制作するクラウドファンディングも進行中です。(プログラム詳細)
院長の塩味達也先生、副院長の塩味由紀先生、この度は貴重なお時間をいただきありがとうございました。
※本ページに掲載している情報はすべて取材当時のものです。変更等が発生している場合がございますので最新情報はご確認ください。





