2023.08.01

ユーザの声

Symviewで「確実に情報収集」
 入院児を守る感染症の把握とDX活用の今後の展望

愛知県大府市

あいち小児保健医療総合センター


診療科目

あいち小児保健医療総合センターは愛知県内で子どもの最後の砦として小児医療を支えています。

大学病院ではカバーしきれない疾患や高度な医療が必要な患児に対して隙間なく小児医療を提供する一方、病院機能と保健活動を主軸に県内全域の小児を支える欠かせない存在でもあります。

この度、あいち小児保健医療総合センターにて大規模病院としては初めてWEB問診シムビューを採用いただきました。

そこで今回、同病院のシムビュー導入に関する責任者であるセンター長の伊藤先生と、現場での運用担当者の看護部の中村さんに詳しくお話を聞きました。

小児専門病院特有の複雑なヒストリーを持つ情報をスムーズに把握するためにWEB問診を導入

シムビューを導入していただくにあたり、運用する前から期待はありましたか?

(伊藤先生)シムビューの導入にいたる直接的なきっかけは、小児と薬情報収集ネットワーク整備事業の一環で提案を聞いたことですが、当院ではそれ以外にもWEB問診に対する期待がありました。

従来は、紙カルテの時代から使用していた「患者基本情報」という紙の問診票を初回来院時に記載してもらっていましたが、その内容が更新できていない状況でした。その後、別の問診システムを運用したこともあったのですが、入力結果の視認性が悪く、あまり有効活用さできなかったため、シムビューの導入でこのような患者情報を常に最新にして確認できるようにしたいという思いがありました。

また、当院に受診される患者さんは結構複雑な歴史をもっていて、疾患や家族歴などの長いストーリーがあります。医療的な面では紹介状やサマリーもありますが、患者さん目線での情報を収集するためには問診は欠かせません。以前は、初診患者さんが受付を通ってから紙ベースの問診票を書いてもらい、そこから診察に回っていました。30分〜45分ほど診察までのタイムロスがありましたし、限られた時間で問診票を書いていただくので十分に患者さんの訴えが書ききれていないことも多い状況でした。

シムビューの場合、事前にスマートフォンなどでWEB問診に入力してもらえるので、予約の時点で自宅など落ち着いた状態で、正確な情報を抜けなく提供していただけると思いますし、診療においても初診の担当医師が「カルテ予習」の時点で紹介状の情報と問診の情報を把握していれば、より良い診療ができます。このような流れをつくることがWEB問診に期待していたところです。

小児専門病院で重要な、正確な情報を確実に得ることにSymviewが寄与

小児専門病院の問診の情報収集時に一番大切だと思われる点はなんですか?

(伊藤先生)ヒューマンエラーなく患児の正確な情報を得ることです。これまでのカルテや問診票の場合は、どうしても人の手を介して転記するフェーズがありました。母子手帳の成長記録や予防接種の接種記録などは小児医療において欠かせない重要な情報ですから、ミスを無くすためには極力転記しない方が良いのです。シムビューでは母子手帳の写真をアップできる機能がありますから、内容をそのまま入手できます。保護者の転記や医療者の聞き取りよりも一番信頼出来る情報です。

また、感染症情報についても同様です。入院において当院が最も懸念するのは院内感染で、中でも「水痘」はとても警戒しています。入院してくる患児達は免疫が低下していますから、水痘が致死的な院内感染となる危険性があります。1件の発生があれば病棟閉鎖にもつながりますので、入院加療が必要な患児の受け入れにも影響が出てしまいます。

入院の際に予防接種の情報は得ていますが、もしも内容が曖昧だったり記録がなければ、入院児全員に一から問診をやり直さなければなりません。WEB問診を最初から正確に入力しておくことで、もしもの時に必要な「動かない情報」を予め取得出来る有用性は高いと言えます。

その他にWEB問診ならではの利点はどのような点にあるとお考えですか?

(伊藤先生)情報の更新が簡単に出来るというのもメリットです。

シムビューは患者さんが前回入力した問診データが記憶され、項目によって次に入力する時には追加情報を入力するだけで済む機能があります。

小児の場合は、成長とともに身長体重の記録も追加されていきますし、予防接種歴も接種のたびに更新されていきます。弟妹の誕生や家庭環境の変化なども起こるかもしれず、その情報を毎回最初から記入していくのは手間ですし、時間のロスにもなります。受診時に必要な情報を手間なく追記していけるというのは、記入する側の親御さんにとっても医療者にとっても有用なものですよね。診察時や年1回など、定期的に情報を確認し更新していくことで、いつでも患児の今の状況が把握でき、診療にも活かせるものと考えています。

また、医師のカルテ予習時に患者さんが入力した最新の問診から情報収集できるのもWEB問診ならではです。

ほかにも、問診票を記載するための時間、初診医師が問診内容を把握するための時間など、タイムロスの削減には大きく寄与していますし、予防接種歴の早急な確認や入院時の情報収集の負担軽減にもつながっています。

新しいことは小さく始め、まずは使ってみてもらうことが大切

大規模病院としての導入の苦労や実際の手順などを教えてください。

(伊藤先生)シムビューにかぎらず、新しいことを導入するときには「小さく始めて、まずはやってみる」というのが大事かなと思います。現状を変えることに対しては一時的に人的なコストもかかりますから、全員一致で賛成して始められることはありません。実際に動き始めてみないと、イメージできていないスタッフ同士が自身の考えられる範囲で想像した話し合いしか出来ません。理想だけを頭に浮かべているスタッフもいれば、現実的な手間の部分に注目している人もいたりとそれぞれがバラバラのイメージしか持てない。共通のマインドで話し合いの場に乗るためにはまずは実際に触ってみて、ということが必要です。

(中村さん)実際の方法としては、まず主要な先生方には初期の段階から関わっていただきました。外来の部長やセンター長の医師です。ある程度形ができた段階で、医局会で医師に、院内の各部門の担当者が全て基本的に集まる担当責任者会議で各部門の代表者に、それぞれ営業担当の方から説明していただきました。

基本的には会議から持ち帰り各部署で周知してもらったのと、院内の掲示板でもアナウンスしました。大きな部門としては看護部ですが、医療事務の派遣スタッフも含めて看護部の記録委員会で1回、外来部門で1回、師長室で1回の、計3回レクチャーしていただきました。その後はいただいた資料や実際に使用する問診票を掲示板に挙げて周知していきました。営業担当の方に直接レクチャーしていただいたので、私たちの方で一人ひとりのスタッフへの指導という手間がほとんどありませんでした。

資料も準備していただきましたし、その後もちょっとした不明点にはその都度対応していただいているので、特に困った点はないです。

ただ、いろんな病院の体制が多分あると思います。当院は比較的新しいものへの抵抗感は少ないかも知れません。シムビュー導入についても周知の面でも自分たちにとっては普段通りでしたからあまり困りませんでしたが、病院によっては情報の一本化などの方法やフローが違ってくると思いますから、その都度相談しながら良い方法を探っていく作業が必要かもしれません。

▲運用担当者の看護部の中村さん

事前のWEB問診で業務を前倒しにでき、情報収集の負担が軽減

WEB問診の現在の運用はどのようにされていますか?

(中村さん)入院予定の患者さんには当日来院前までにWEB問診を入力していただいているので、実際に患者さんにお会いする前に患者さんの最新情報を知ることができ、当日の負担はかなり減りました。入院する前のタイミングで全て確認を終えて、様々な情報を電子カルテのプロファイルなどに入れ込んだ状態で病棟に行っていただくという流れができたことは業務量だけを見ても大きな変化だと思っています。フローとして確立するにはもう少し精査が必要ですが、大まかな流れを変えられたというのは大きいです。今までは患者さんが病棟到着してから始まっていた全てのことが、前倒しで出来るようになり業務の整理としてとても助かっています。

問診項目も選択式の部分と、家族構成等はフリー記載ができる点も良いと思います。

入力していただくタイミングとしては、入院患者さんには入院検査の予定を入れた時点で問診の案内をしています。初診の患者さんは、当院に来ていただいた段階で外来を待つ前に入力していただいてから受診、という流れになってます。他院から紹介で来られる患者さんは、診察予約を取った段階でクリニックさん経由でWEB問診を案内していただいています。

もちろん、いろんな患者さんがいらっしゃるので全てにトラブルがないとは言い切れませんが、比較的今の親御さんはスマホ慣れしていることもあって受け入れはスムーズです。ただ、中にはどうしても入力が難しい方もおられるので完全に紙ベースの問診票もなくすことはできません。また、日本語が読み書きできない海外の方もおられますから、現状では紙ベースの多言語に対応した問診票も使用しています。今後は多言語のWEB問診も導入できたらいいですね。

小児病院の医療DXは有事の際や研究活動を合理的に進める助けに

今回シムビューを導入した成果や今後の展望はありますか?

(伊藤先生)今回、シムビューを導入したタイミングではじめに入院支援センターで運用を開始し、旧問診票の情報が登録されている患者さんにも改めて最新情報を入力してもらったことで成果を実感しました。
今後は外来患者さんにも登録を促すようにしていきたいですが、もう少し定着してから始める予定です。定着するために大切なことは、すべての医師がシムビューの問診票から得た最新情報を見る習慣を徹底することなので、引き続き医局会から呼びかけていきます。

病院におけるDXの活かし方や期待している点は?

医療DXは、例えば「シムビューを使うことで業務がどれだけ合理化されたのか」「医者の時間外勤務時間がどれだけ減ったのか」という経営的な点に注目されがちですが、WEB問診を導入したことで医師の時間外業務が減るかといわれれば、それは難しいですよね。しかし、入院患者さんの感染症情報が取得できていることで有事のときに合理的に対処できますし、結果として患者さんを守ることにもつながります。普段は意識しなくてもその瞬間にすごく役に立つんです。具体的な数字が出ないこともあって経営的には評価されませんが、現場にとってはすごく重要なことですし、これこそがDXの本来の力を発揮する場です。

あと、DXによっていろいろな研究活動がスムーズにできるようになります。患者さんの情報を確実に手間なく把握できることによって、臨床研究が合理的に進められてより早く医療がより良い方向に進化していく。目先の経営や目先の手間を省くという意味では、例えば紙カルテから電子カルテになったとしても変わりませんが、こういったプラスアルファの価値を作るためには役に立っていますし、DXの価値はそういったところにあると思います。

編集後記

WEB問診シムビューは、これまで主にクリニック向けのシステムとしてご活用いただいておりました。
今回は、初めて病院での運用についてご意見をいただき、同じ地域医療を支える存在でもクリニックとは問診で重視するポイントの違いや、大きい組織だからこその導入時の工夫をお聞きし、弊社としても、とても学びの多いインタビューになりました。
事前に得られる問診情報が入院患者さんを守ることにつながること、データを研究活動に活かして今後の医療の発展につながることを改めて知り、我々の提供するサービスに対する責任も感じます。これからも、医療機関の皆様や患者さんにとってより良い医療を提供するサポートができるよう、日々機能開発や運用サポートを充実させていければと思います。

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